裏黒 | ナノ

十一

「何でそんなに慌ててんの?」

長曾我部は、嘲笑を含んだ声音でそう言うと、力一杯に腕を引き上げ、前傾した姿勢から元就ごと一気に立て直す。

体勢が安定したかと思った時、脇の下にあった手が元就の胸元を滑り、そのまま右の乳房を鷲掴みにした。

「なっ…!」

驚く暇もなく、もう片方の乳房も同じ様に掴まれる。

「やめ…っ!」

いきなりの恥辱な行為をやめさせたいが、身体が密着している分、手で触れられただけの時とは、比べ物にならない程の嫌悪感に襲われ、言葉を上手く発する事が出来ない。

「…へぇ、ホント結構あるな」

長曾我部が、何か感心した様に言う。

「…?」

元就が、何の事かと、疑問を持った視線を投げ掛ける。すると相手は一笑し、顔を近付け、耳元で囁いた。

「連れがな、毛利って着痩せするタイプみたいで、実は結構胸あるんだって言ってたから、本当かと思って、な」

「痛っ…!」

長曾我部は、元就があまりの痛さに思わず声を漏らす程の力で、胸を揉みしだく。

「知ってるか?俺の連れの何人かな、お前の事そういった対象で見てるんだぜ」

「……」

そんな事を言われても、元就には、“だから何だ”という気持ちしか湧かない。

その元就の気持ちを察したのか、否か、長曾我部は、相変わらず嘲った顔を見せている。

「…俺もそうだって事だよ」

「だ…からって、何でいきなり…」

こんな所で。と、元就にはこの行為の意図が解らない。

「だってお前、俺の事、“嫌い”とか言うから」

そう言って、片手をブラウスの裾から入れ、今度は直に触れてきた。

「んっ…!」

元就は、直接的な感触に、身を竦めるが、長曾我部は構わず喋り続ける。

「寂しくなってな」

およそ、本心とは思えない理由を述べ、もう片方の手もブラウスの中に入れてきた。

「あっ、や…」

中でブラは捲れ上がり、下から揉み上げられる度、尖端が布に擦れて擽ったい。

「うぅ…ん」

元就は、何とか逃れられないものかと模索するが、触れられている事での気持ち悪さと、ほんの少しの快感に挟まれて、四肢に力が入らず、相手の足を踏みつける事も出来ないでいた。

「だから、もっとコミュニケーション取らねぇとなぁって思って…こんな風に」

まごついている元就を嘲笑うかの様に、長曾我部の指先は、擦れて敏感になっているその部分を摘まみ上げた。

「ひっ…!」

更に強い刺激に、堪らず息を呑む。

「勃ってきたな…」

長曾我部はそう言い、摘まむ指に強弱を付け、乳首を捏ね回す。

「はっ…」

気持ち悪さが限界を超えそうなり、少しでも胸苦しいのを楽にさせたくて、元就は息を吐く。

「う…ぁっ…」

しかし、執拗とも言える長曾我部の攻め手に逆に息が乱れてしまって、それも儘ならない。

そう倦ねいていたら、唐突に下校時刻を報せる鐘が鳴り響いた。

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