四
数分後、車が止まったのは政宗が住んでいる高層マンションの前だった。
「さ、元就…。」
元親がドアを開け、元就の腕を掴んだまま外へ出る。
則されるまま、力無く出ようとした時、運転手と政宗の会話が聞こえた。
「政宗様、程々になさいませ。」
「…そこら辺はちゃんと判ってるぜ小十郎…、大丈夫だ。同意だからな。」
『…同意?』
同意などしたか?と一瞬思ったが、
…逃げずに着いて来ているからか…。と気付いて、薄く笑った。
オートロックの扉を抜けて、エレベーターに乗り込む。
ココまで来て逃げる訳もないのに、相変わらず元親は腕をガッチリ掴んでいるし、政宗も反対の手首を付かんで離さない。
チン。
軽快な音が鳴り、階数を示すランプが最上階を指す。
このフロアには、部屋が一つしかないようだ。
『…知ってはいたが、かなりの金持ちなのだな…。』
と、どうでもいい事を考える。
ガチャ。
政宗が鍵を開けた。
『…!』
途端に緊張が身体を走る。
それに気付いたのか、2人にやや強引に部屋へと引き入れられた…。
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