十
ショーツの中に手を入れられ、直に秘部を触れさせられる。
「…あ…。」
其処は生暖かく滑っていた。
元親は、元就の手に己の手を重ねて、自分の陰核を捏ね回す。
自身のその箇所も触った事が無いのに、いきなり、それも自分に近しい同性のその様な所を無理矢理…。
「…元…親…!」
軽く混乱して、元就は幼馴染みの名を呼ぶ。
「元就の指、細くて綺麗だな…。すげぇ感じる。」
恍惚の表情を浮かべながら、元親は元就の目の前に掴んでいた手を見せてくる。
白く濁った粘液が指を覆っていた。
「!?んぐっ…!」
その指を口の中に強引にねじ込まれ、無理矢理舐めさせられる。
「俺の味だぜ。元就。」
「んンっ…!!」
少し塩っぱい味が口内に広がる。
その手から逃れようと首を振っていたら、不意に片足の膕(ヒカガミ)を持ち上げられ、大きく脚を開かされた。
そしてショーツを剥ぎ取られる。
「も…!」
元親もいつの間にか脱いでいたらしく、曝け出した其処を元就の陰部に擦り付けた。
「ひあ…!」
その初めての感触に、自然と身体が戦く。
だが同時に、えも言われぬ快感が身体を突き抜けた。
グチュグチュと、二人が出す水音が元就の耳を侵す。
この快楽に浸れれば楽なのだろうが、身体に心が追い付かない。
「俺はな、元就。アンタが思い出すまで待とうって、ずっと我慢してたんだ…。」
元親が話し出す。
「…?」
だが、相変わらず元就には何の事だか分からない内容だった。
「アンタ、男っ気無いし…。でもよぅ…、俺の方が耐えられなくなっちまった。」
「!」
いきなり首を元親の両手で掴まれた。
「その矢先だ…。アンタ、何手紙なんか受け取ってんだ…!」
「…!」
今朝の、校門での事を言っているのだろう。
「違う!あれは…!」
元親宛だ。という言葉は続かなかった。
『苦…しい…。』
首を掴んでいた手が、徐々に強さを増す。
「アンタは俺のモンだ。分かってるか?」
締めてくる手の力が更に強くなり、元就は苦しさの余り首を縦に振った。
途端、手が離れる。
「ごほっ!けほっ…!」
空気が一気に肺に流れ込んできて、元就は噎せ返り咳き込む。
「…!うあ…!?」
元親の腰の動きが再開された。
「やっ…!あぁ…!」
また、あの快感が身体を侵食する。
「元親…。」
「前はそうやって、名前を呼ばれた事も無かったな…。」
「元親…。」
「…どうした?俺は此処に居るぜ?」
「元親…。」
名前を呼べば、自分の知っているあの優しい幼馴染みが戻って来るのではないかと、淡い思いを持って元就は只、名前を呼び続けるだけだった。
〜終〜
(初出:'09.07.19)
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