六
テスト期間前になったので、授業は午前中だけだ。
下校する為、元就は席を立つ。
「…元親。」
朝から、何故か機嫌が悪い幼馴染みに話し掛ける。
「…帰るか。」
無視はされないが、口調は素っ気無い。自分は何かしたのだろうか?謝るにも、不機嫌の原因が分からないので困惑するしかない。
元親がこんな調子なので、朝に頼まれた手紙も渡せていない。
『困ったな…。』
そう思いを巡らせていたら、突然前方の階段付近から何かが落ちた音と、悲鳴が聞こえた。
何事かと音が聞こえた所へ行くと、一人の女生徒が友人らしき女子に抱えられて何処かに行くところであった。
その抱えられている女生徒は、あの噂好きの女生徒だった。
「ビックリしたねぇ。階段で足滑らすなんて…。」
他の生徒達の会話が聞こえる。
「アタシ骨折れる音って初めて聞いた〜。」
どうやら階段から落ちて、骨を折ったらしい。
「………。」
「…え?」
微かにだが、元親の呟きが聞き取れて、元就は驚く。
“ざまあみろ。”
確かに、こう言っていた。
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