三
「別れた?」
その言葉に元就は軽く衝撃を受ける。
元親は、見た目は勿論、人懐こい性格をしていて男子に人気があり、実際によくモテた。
中学生だった頃もモテていて、男が途絶える事は無かった。
元就が衝撃を受けた理由は、今までの彼氏達とは長続きしなかったが、その入学式から付き合っていた男子とは珍しく長続きしていたからだ。
「…何で?」
少しの好奇心から、別れた理由を聞いてみる。
元親は元就の方をチラリと見て。
「我慢するの止めたんだ。」
と、元就にはよく分からない理由を答えた。
「…着替え無ぇの?」
元親の指摘で、自分がパジャマ姿のままだったという事に気付く。
「ああ、そうだな。」
ベッドから下り、制服が掛かっているハンガーを取り着替え始める。
「…元親。」
ふと、横から注がれる視線に気付き、そちらに顔だけを向けて言う。
「着替え終わったのなら、先に下に降りておけ。」
「ん?いや…。すぐ終わるだろ?一緒に降りようぜ。先に降りたら、朝飯食べるの待たなきゃなんないし…。」
「…そうか。」
尤もらしい理由に、元就は納得し着替えを続ける。
その着替えが終わるまで、元親の視線が元就から外される事は無かった。
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