裏黒 | ナノ



物心がついた時から隣に居た。

産まれた時から一緒だったから、当然と言えば当然なのだが…。

小学生の低学年までは普通に仲が良かったし、頻繁に遊んだりしていた。

だが、高学年になると徐々に連れ合う事も少なくなり、中学に上がる頃にはかなり疎遠になっていた。

2人の幼馴染み。

『…やはり我が女だからか…?』

寂しくないと言えば嘘になるが、仕方がないと思えば納得もいく。

『しかし、高校まで一緒になるとは…。』


中学生の頃は殆ど話すらしなかったし、たまに話すと周りの人間に関係を聞かれ、(どうやら随分親しく見えたらしい。)幼馴染みだと答えると大抵驚かれる。

見た目も良く、明るく人懐こい2人に対して、地味で人付き合いが苦手な自分とは繋がらないのであろう。


そういう周りの目も 鬱陶しくなり、(2人とも人気者だった故。)卒業するまで自分から接する事は無かった。

『まぁ、元々疎遠になっていた事だし意識する事も無いか…。』

高校が一緒になった事にも驚いたが、まさかクラスまで一緒になるとは…。

最初は、気まずさがあったが、冷静に考えれば杞憂だったと心の中で笑った。

2人にとって、自分は只の幼馴染み、顔見知り程度の関係…。

それだけの事。

入学式からたいして時間が経っていないのに、もう沢山のクラスメートに囲まれている2人を眺めながら元就は1人ごちた。


その2人が時々、こちらを見ている事には最後まで気付く事は無かった。

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