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2014/04/15



フォロワーさんにより今真というドマイナー開拓された。
今泉が少し酷い人です。R15注意。




ボスンッとか、多分間抜けな音がしたんだと思う。
気付いたら柔らかい衝撃と共にくちゃくちゃになったシーツが波打ってオレを包み込んだ。
今泉くん、ってオレは視界を埋め尽くす彼の名前を呼んだつもりだったけど、それは音にはならなかった。
だってその前に彼に唇を奪われてしまったから。
ビックリして微かに口を開いたら、ずるって舌が入り込んできて、思わず彼の肩をぐいって両手で押した。
けど今泉くんはピクリとも引かないで、それどころかオレの頭を片手でぐっと抑えてさらに舌を潜り込ませてきた。
思わずんっ、なんて変な声が漏れて、恥ずかしくて千切れるかってくらい彼のシャツを掴んで引っ張る。
なんだかじわじわと下の方が熱くなってきて耐えきれず足をすり寄せてしまう。
彼の瞳はそんなオレを見て嬉しそうに細められていた。
ぴちゃりと音を立てて離れた唇、オレは久しぶりに正常に酸素を吸う。
荒い息のオレを見下ろす今泉くんは前に荒北さんの言っていた獣の目ってやつで鋭くオレを射抜いていた。
「真波」
合わさった唇も掴んだシャツ越しの体温も間違いなく熱かったのに、その声はひどく冷たい。
返事もできずにただ見つめ返していると、彼の指がオレの服を剥いで、胸元に触れた。
「っ、」
息を詰めて彼の肩からシーツへと手を泳がせたら、重なる様に彼の手が覆いかぶさった。
そこまできて漸くオレは結論に至る。
決して柔らかくも優しくもないこの身体を、今泉くんは抱こうとしていた。
「今泉くん」
今度はちゃんと音になった彼の名前。
それは静かなこの部屋に思った以上に響いて、胸の上で遊んでいた指がピタリと止まった。
「ねぇ、こんなことしたら坂道くんが悲しむよ」
自分でも笑っちゃうくらい陳腐な言葉だ。
けど、事実だ。
きっと坂道くん、すごく悲しい目をするんだろうな。
「……今から犯されるってときに余裕だな、そんなに小野田が好きかよ」
煮えたぎるような、あからさまに苛ついた声を今泉くんは吐きだした。
ギリッと歯を食いしばって、微かに肩を震わせている。
「そうじゃない、けど」
「黙れよ」
ぴしゃり、そう遮るように彼の手がオレのベルトを外しにかかって、金属のぶつかる音と彼の唸るような息遣いが鼓膜を叩く。
目の前で彼の黒髪がさらさらと揺れて、掬うとするりと指の間を通り抜けていった。
(……今泉くんのほうがずっと坂道くんのこと考えてるくせに)
ズボンごとボクサーパンツがずるりと中途半端に脱がされて、寒さに少しだけ震える。
彼の吐息が肌にかかるのを感じながら、オレはゆっくりと瞼を閉じた。
ねぇ、きっとオレ悲しい顔をしているよ。
小野田くんよりもずっと。

白い夜は救われない




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