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2014/03/15



女体化でR18注意




ちりちりと積もりに積もったそれはついに関東の街たちを飲み込んだ。
バスは止まるわ店は閉まるわ人はウルセェわまったく東京は雪というもので不慣れで呆れる。
たまには少し遠いところに行ってみたいという真波の言葉に連れられて来てみればこの様だ。
こうなりゃどうにでもなれと遅延だの見合わせだの映し出す電光掲示板を眺めている真波の手を掴み、人でごった返す駅を飛び出した。
彼女のブーツがカツリと音を立てる。
「あの、荒北さん」
「あ?」
「駅離れちゃっていいんですか?帰れなくなっちゃいますよ??」
「どうせ今日はもう帰れねえだろ」
「でも……」
焦ったような声を無視して白く染まった歓楽街を通り抜ける。
彼女の我が儘を聞いてここまで来たのだから、今度はこっちが振り回す番だ。
遠くが良いと言ったのだって、誰も知り合いのいない、二人きりになれる場所が欲しかっただけだろう。
なら二人きりになれるのなら何処だっていいだろ、何処だって。
そう思うままに歩みを進めれば、見えてきた建物達に真波は息をひゅっと吐いて、その細い足をもつれさせる。
それを無理矢理に引いて建物へと駆け込み、適当にパネルを選んで戸惑う彼女をエレベーターへと押し込む。
向かい合うように狭い箱の中へと詰められ、真波は荒北さん、と呟いて、それきり黙って俯いた。
部屋の中は想像していたほどピンク一色やら回転するベッドやらはなくて、少し洒落たデザインのビジネスホテルのような感じだった。
普段なら珍しそうにキョロキョロと辺りを見回してそこらを物色しそうな真波は気まずそうに俺の後ろでショルダーバッグの紐を弄っている。
「シャワー浴びてくるわ」
びしょ濡れの上着をハンガーに掛けながらそういうと、アンテナのついた頭がゆっくり縦に振られるのが見えた。

シャワーから上がっても、真波まだ落ち着かない様子でぎこちなくソファーに腰を下ろしていた。
「あ、お、おかえりなさい……」
「おう」
エアコンは暖房をガンガン効かせてるというのに、細い膝の上にあるその小さな手は悴んでいた。
「お前もシャワー浴びてきたらァ?」
「あ、いや、大丈夫、です」
「ハァ?お前も結構濡れただろ」
寒くねぇの?と真波の雪で湿った髪を掬ったらビクリと大袈裟なほどその小さな肩が跳ねて、思わず指を離す。
「おい、」
「荒北さん」
真波が顔を上げた。
「私、これから荒北さんに抱かれるの?」
彼女の溢れそうなほど、大きな瞳を揺れている。
声はやけにはっきりと聴こえてきたのに、何故か泣き出してしまいそうに思えた。
「真波、」
こいつは、名前を呼ぶだけてこんなにも震えるような奴だっただろうか。
顔を赤らめて、困ったような顔でじっとこっちも見てくるような、女の子だっただろうか。
「あらきた、さん」
その声に、思わずその身体を引き寄せる。
「わっ!?」
小さな身体は簡単に胸元に収まり、くぐもった驚いた声は部屋に響かずに床に落ちるように消えた。
「あ、あの、」
戸惑う真波の頭を撫でながら、顎をその柔らかな髪に埋める。
「俺はさぁ、どうせ帰れねぇならどっか泊まったほうが良いと思ってよー、このままじゃすぐホテルとか埋まるだろうし、安いとこっつたらラブホだろ?」
「え?」
「2人とも濡れちまったし、お前の行きたいって言ってた店もほとんどいけなくなっちまったし、もおふて寝くらいしかすることねぇだろ」
「っあ、やだ、わ、私、」
「で、不思議チャンは何を考えていたのかな?」
抑えていた頭を解放すると、茹で上がった真っ赤な顔で唇をわななかせる真波が恨めしそうな瞳を俺に向けていた。
その小さく口ががっと大きく開いて、幼い声が飛ぶ。
「あ……荒北さんが悪い!!!!」
「アァ?なんでだよ」
「だっていきなりこんなところ来るし、何にも喋ってくんなかったし、少しは説明してくれてもいいじゃん!」
ここぞとばかりにぎゃんぎゃんと騒ぎ立てる真波をはいはいとあやす様に背中を叩く。
「子供扱い!?荒北さん今日私のことからかってばっかりだ!可笑しいと思ったもん、いつもなら絶対雪とか最悪だとか言ってキレてるはずなのに黙ってるし、荒北さんらしくないっていうか、」
「そりゃお前だろうが」
「……え?」
ぽかんと口を開ける真波の、仄かに赤くに彩られた唇をなぞる。
「っ、」
「こんな化粧なんか普段しねぇくせして」
そのままピンク色に染められた頬を撫でながら指を下に落とせば、ふわりと柔らかなファーが彼女の首元を包んでいた。
らしくないんだよ。
普段履かないようなスカートも、リボンのついたコートも、ヒールの高いブーツも、寝癖の直された髪だって、全部、らしくねぇ。
「子供扱いなんか、出来るわけねぇだろ」
一丁前に背伸びなんかしやがって、いざこっちが踏み出したら泣きそうな顔するくせに。
「……期待させんなよ、バーカ」
真波の肩に顔を埋めながらため息のように漏れた言葉はしっかりと彼女の耳に届いたらしく、一拍おいてあのー、と間抜けな声が落ちてくる。
「荒北さんの中ではお洒落するイコール抱いてオッケーってことなの?」
「そうじゃねーヨ!!!!」
思わず真波から身体を離してそう叫ぶと彼女はふふ、と目を細めた。
ここに来てからやっと見れた笑顔に、なんだか毒気が抜かれて今度は俺がぽかんと口を開ける。
真波はくすくす笑いながら、また俺の胸へと擦り寄ってくる。
「不思議だなぁ、さっきまで怖いなって思ってたのに。今は荒北さんになら抱かれてもいいなって思うんだ」
「…………」
「なんでだろ?荒北さんの気持ちが分かったからかな?」
ぎゅうっと抱きついてくる真波に理性を振り絞って「シャワー、浴びて来い」と言えば今度は嬉しそうに頷いた。

「あら、きた、さ」
真波の身体は何処もかしこも柔らかくて、不思議と手に馴染んだ。
少し触れるだけでも緊張で過敏になっているのか真波はピクリと反応したし、大丈夫かと思ったが指一本中に入れようとしただけでも真波は痛がった。
堪えようとしているのだろうが、苦痛の表情が隠し切れない彼女は本当に素直な性格をしている。
喜びも、悲しみも、痛みも、快感も、彼女は感じたままに伝えてくる。
……堪ったもんじゃねえ。
はち切れそうな欲望を制して一旦真波の中から指を抜く。
「あ、」
不安そうな瞳を投げかける真波の胸を掴むと、途端にぎゅっと目を瞑ってっ、と息を詰まらせた。
「っん、ぅ」
「お前胸敏感だな」
「そ、いうの、言わな……っ、いのが、普通じゃ、ない?」
「処女のくせにして普通も何もねぇだろ」
「えっ、な、んで、知って……ゃ、」
「お前可愛いけど洒落っ気ねぇし、男と付き合ったときキスするの初めてとか言ってたじゃん」
「ふふ、荒北さん、私可愛いんだぁ」
「……てか集中しろよ」
油断した隙にまた下に触れれば一瞬身体をギクリと固くさせたが、下で胸の突起を転がせばすぐに力を抜いた。
「んくっ、ふ、……っあ」
なんとか解れてきて指が三本入るようになった頃にはぐちぐちとした音が部屋に響き、真波は羞恥心でまた顔を赤く染めていた。
「今日のお前茹でタコみてぇ」
「うぅ、荒北さんのせいですよお」
「そうだな、俺のせいだ」
素直にそう応えれば真波は驚いたように目を見開いて瞬きするとバカ!と叫んだ。
何だか分からんがまあ、丁度良い感じに身体も緩んだしいいか。
指を抜くとふぁ、とあられもない声を上げるものだからもう俺も限界の寸前で、でも傷付けるようなことは死んでもしたくないから彼女の耳元へと口を持っていく。
「真波、」
「は、い……?」
「挿れたらもう、後戻りできネェぞ」
真波の身体は今まで、今だって清いままでそこにある。
この身体を汚すのが俺だと思うと堪らなく嬉しい気持ちと共に、罪悪感みたいなものが胸に募った。
大切にしたいと不器用なりに思うが、きっとすぐに泣かせてしまう気がする。
真波はそんな俺の心中を見透かしたように、ふにゃりと笑った。
「私言ったよ、荒北さんになら……抱かれてもいいなって」
「……ああ」
「嘘じゃないよ、本当に、そう思うの」
「ああ」
「それ以上のことだって、思うんだよ……?」
「真波、」
「お願、い、荒北さ、」
荒北さんの全部が欲しい。全部せんぶ、今まで付き合った人たちより、ずっと。
真波の声は最後は掠れてしまっていて、結局泣かせてしまったけど、悪ィ真波、俺もうお前のこと、手放せそうにないんだわ。
「あっ……ひ、ぐ、っ、」
「バァカ、ちゃんと息しろ」
真波の中はめちゃくちゃ狭くて、マジで持っていかれそうになるのを耐えて腰を無理矢理動かす。
「ゃ、あ、あっ、」
どうしていいのか分からずにされるがままの真波を抱き締めて、唇を重ねる。
安心したように真波の顔が緩んで、首に腕を回されて、ドクドクと自身が波打つのが分かる。
細っこい腰を掴んで奥まで抉ると、泣きそうな声が口内で反響する。
それを彼女の舌ごと絡め取って、後はもう、がむしゃらに動くだけだった。

「良かった、雪止んでるみたいですね」
ホテルから出ると外はすっかり晴れ上がっていて、あんなに積もっていた雪達は溶け始めていた。
「これなら電車動くかな?あ!その前に昨日行けなかったとこ行こうよ!荒北さん!」
「お前……元気ネ……」
昨日までのしおらしさが嘘のようにぴょんぴょんと動き回る真波に呆気に取られていると真波が駆け寄ってきて俺の腕にしがみつく。
「だってこれで私は荒北さんのものだもん!えっと、こういうのなんて言うんだっけ?形成事実?」
「ちょ、お前何処でそんな言葉覚えてきた!!」
「東堂さんが……」
「アイツ帰ったらゼッテー殺す」
「ねー荒北さんはやく行こう?」
待ちきれないようにそわそわする彼女に仕方ないから今日は振り回されてやろうと真波の安物のシャンプーで少し軋んだ髪を撫でた。

愛されるということ



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