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2014/03/15



個人的に弱ペダで石垣さんが一番厄介だと思う。




ザラザラと指を擽るその感覚が心地良くて、綺麗に丸いそこから手を離せないでいたら、思い切り頭を上下に振られた。
驚いて手を離すと、いつまでも触らんといてや、キモと頭と同じくらい丸い瞳がギュウッを細めて御堂筋が俺を射抜く。
「すまんすまん、気持ちが良くてつい、な」
「はぁ?なんそれ、ボクが人に触られるの嫌いなん知っててやってるん?石垣くん本当性格悪いわぁ」
腹の底から嫌がるような声を絞り出す御堂筋はオレの腰掛けるソファに背中を預けて、何やら難しそうな小説をその長い指で持て余している。
「お前が構ってくれへんから暇なだけや」
「なんでボクが君に構わなあかんの」
「そりゃ世間一般でいうコイビトだからちゃう?」
御堂筋はうぇ、と苦虫を噛み潰したような顔をした。
珍しい顔だなと見惚れていると彼は漸く小説に栞を挟んでテーブルに放り投げた。
「石垣くん、コイビトってどういう字書くか知っとる?」
「恋愛の恋に人間の人やろ?小学生でも分かるで」
「そうや恋をしてる人や好きなもん同士のことやいいか石垣くんボクは別に石垣くんのこといっぺんも好きなんて言ったことあらへんでつまりボクらは恋人でもなんでもないんや」
一息に、まるで俺に入る隙を与えないように物凄いスピードで吐き出した。
「はは、まるで自転車乗ってるときのお前みたいやな」
「なんやそれもう意味分からん」
これだけ言ってもまだ効かないかと御堂筋が額を抑えた。
その手の甲を摩って、俺は分かりきった答えを口にする。
「御堂筋はちゃんと俺のこと好きやで」
「……とうとう気でも狂ったんか」
何処か諦めたように遠い目をした御堂筋に苦笑して、彼の後頭部にもう一度、触れる。
「だってお前、嫌がらへんやろ」
「……は?」
「御堂筋はホンマに嫌なときは違う反応するっていうか、そもそも触らせへんやろ」
それどころか近寄らせもしないだろう。
そんな御堂筋のこんな近くにいれるのは多分俺だけや。
そのくらい自惚れてもいいんじゃないかというくらいには、彼と俺の距離は他人とは言えないほど、こんなにも近いのだ。
「御堂筋はちゃんと俺のこと、愛してくれてるんやで」
嬉しいなぁ、と溢せば、御堂筋はあんぐりと開けた口をガチンッと音を立てて閉じ、その隙間からため息のようにこう漏らした。
「石垣くんホンマ性格悪いわぁ」



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