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2014/03/15



R18注意




ひくんと、引き攣る爪先でシーツを掻いた。
はくはくと薄い息の向こう、日向の頬には汗が滲んでいた。
「ん、く」
「伊月、声抑えるな」
降ってきた声と共に唇に貼りついていた手の甲を剥がされる。
途端、喉元から溢れそうになる音を飲み込んで、奥歯を噛む。
嫌々と頭を振れば日向は強情だなとため息をついた。
「まあ、そっちがそうなら俺も強行手段を取るまでだけどな」
にやり、意地の悪い笑みを浮かべる彼にえ、と思う間もなく日向の指が二本、するりと俺の口へと入り込んできた。
「ぅ、ふ」
「噛むなよ」
噛めるわけがない、主将の、SGの指を傷つけることなんて。
分かっているくせに。
ぐちぐちと、指の腹が歯列をなぞって、舌の上を滑る。
思わず背中がしなって、目尻から逃げ出した涙が顔を撫でていく。
「あ、ぅ」
「伊月、ちゃんと舐めろ」
催促するように痙攣する上顎を擦られて、たまらなく声を上げた。
「ほら、伊月」
「ん、ふぅ、ぁ、む……んく、」
少し硬い、日向の指へと舌を這わせる。
爪を、関節を、付け根を、ゆっくりとしゃぶっていく。
日向の指すべてが熱を持って俺を揺さぶる、溶かしていく。
酷く、眩暈がするくらいに、甘美だ。
「ふ、んむ、は……っ、ぁ」
「伊月、動くぞ」
空いてるほうの手のひらが俺の髪を撫で、日向がゆっくりと律動を再開させる。
じわりと、熱くなる感覚に目を瞑る。
「ふぅ、う、」
口の端から漏れた唾液が、自分の限界を伝えているようで、嗚呼、もう、駄目だ。
「あ、やだ、うぁ、ん、ふっ、あ」
「っ、良い声」
「んぅ、あ、ひぃっ……あ」
とうとう止める術を失った言葉たちが零れていく。
「や、ぁ……はっ、ひゅ、っが、あ」
溢れる声も涙も染まる頬も全部がありのままに垂れ流されてる。
「ひ、ぁあっ、ふぁ、」
「っ、伊月、」
たまらずその背中に縋りつけば、回される腕の暖かさに溺れる。
「やぁ、んあっ、ひゅ、がぁ……っ!」
繋がったそこからぐちゅぐちゅと溢れる卑猥な音と共に、膨れ上がっていく限界。
爪を立てて、腰をしならせ、嬌声を上げて。
嗚呼、融解していく。
「ひゅうが、んぅ、ひゅ、が、ああ、」
壊れた唇はひたすらに彼の名を繰り返し呼ぶことしか出来ない。
日向、日向、日向。
「伊月、」
優しい、日向の声が俺を呼んで口付ける。
滲んだ世界に、彼を感じる。
ぶわりと、心が満たされる。
「ひゅ、が」
「……俊」
不意に呼ばれた名前に、俺の身体は浅ましくも熱くなる。
喉がごくりとなって、瞳は勝手に潤んだ。
「ふは、可愛いな、お前」
髪を撫でながらくすくすと笑う声に、仕返ししてやろうと枯れた声で絞り出す。
「じゅん、ぺい」
初めて呼んだ名前の向こうで、彼は微笑んでいた。

指先から浸してよ
(貴方の愛を垂らして)



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