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2014/03/15



フォロワーさんへお誕生日に捧げたもの。




冷たく降りしきる雨が夏の終わりを告げている。
水滴が容赦無く窓を叩きつけて、この部屋の静けさを一層際立てる。
寒いかと聞いたら、うんと森山は頷いた。
「なら、」
「ねぇ小堀」
外は雨だから、帰れないね。
森山はそう、艶やかに笑った。

二人して戯れるようにベットに沈み込む。
くすくすと笑う森山の髪が、細くシーツに散らばった。
子供がするような幼いキスを受け入れていると、森山があ、と声を漏らした。
唇を離して何か見つけたように森山が目を瞬かせるのでどうしたのかと思ったら、日焼けした腕に森山の白い指が絡む。
彼は白黒のコントラストを見つめ、真っ黒だとふにゃりと笑った。
「森山は相変わらず焼けないな」
「赤くなって痛くなるんだよ、夏は嫌いだ」
「冬がいいのか?寒がりのくせに」
「……いい。だって小堀にくっつける」
森山は拗ねたように俺の首に腕を絡めてぴったりと寄り添う。
「そうか、俺も好きだよ。森山を暖められる」
「……小堀は何なの、天然たらしなの」
「どうした?」
「別にー」
気を取り直して、と森山は俺の鎖骨に唇を押し付ける。
細い指がわき腹を撫でて、森山の足が俺のそれに交わる。
それを眺めながら森山の柔らかな髪を梳いたら、不満げな瞳が俺を見上げた。
「小堀ってさ……」
「ん?」
怒ってるような口調に宥めるように笑えば、森山はぐっと息を詰まらせた。
「……なんでもなぁい」
森山は首から腕を離すと四肢を放り出して、眠た気にくたりとベットに沈む。
薄い瞼が閉じそうだ。
「寝るのか?」
「うーん、眠たくなっちゃった」
小堀、何もしてこないし。
今度こそ拗ねたらしくこちらに背を向けてごそごそと寝心地の良い体勢を探り出した。
本気で寝るようだ。
「森山、」
「何だよ、俺もう寝るから」
「悪いけど、寝かせなられないかな」
「は、ぁ」
森山が不満を溢す前にその肩を掴み、仰向けにする。
驚いて息を止めている森山の口をすかさず塞ぐ。
さっき森山がくれた拙いキスなんかよりも、ずっと荒っぽいものを。
びくり、と森山の身体が跳ねて、手のひらで俺の胸を押すけど、それは酷く弱々しい。
その手を絡め取ってシーツに押し付ければ、もう抵抗の手段はゼロとなって、森山はおれにされるがままだ。
「っ、ぅ、ん……ふ、」
酸欠になる前に解放すれば、その頬は真っ赤に染まり、忌々しげに俺を睨む。
「っは、ぁ」
「温まったか?」
耳たぶを軽く噛みながら囁けば、小さく震える、俺の愛しい人。
馬鹿、と絞り出したような声は甘くこの部屋を満たす。
「こんなんじゃ、足りない」
嗚呼、仰せのままに。

Eat me
(いじわるな食べ方ね、貴方さま)



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