一ノ瀬トキヤ

※一ノ瀬視点





─じー…

さて、この視線は
一体何なのでしょうか


─じー…

読み掛けている本から目を離し
突き刺さる視線の先を見れば
犯人は姫でした


─じー…

正直、あまり見つめられると
不快…ではありませんが
落ち着きませんね
私の顔に何か着いているのでしょうか…?


「何ですか?」

「…。」


─じー…

返事はない
無視、ですか…?


「…もう一度聞きます。何ですか?」

「…。」


─じー……

やはり返事はない
しかし視線だけは私から離れない


─じー…


「…いい加減にして頂けませんか?」

読んでいた本を閉じて
しっかりと姫を見据える

「あ…ごめんなさい、怒った?」

やっと返ってきた返事には
若干戸惑いの色が伺えます
面白いので少々からかってみましょうか


「別に…怒ってなどいませんよ。“一応”」

あえて一応を強調して
ぶっきらぼうに言い放てば

「うぅ…ご、ごめんなさい」

気まずそうな顔をする姫
何だか清々しい気分です


「それで?何故ずっと見つめていたんです?」

先程と同じ様にぶっきらぼうに言えばおずおずと話し出す姫


「いや、あの…特に深い意味はありませんけど、その…見つめてたら、いつ赤くなるかなぁ…と思って」

「…!」

その顔と角度は反則です
しかし、ここで顔を赤くしてしまっては彼女の思うつぼ…
緩みかけた頬を引き締めなくては…


「っ…全く、下らないことをしないでください。だいたい、そんなに人の顔を凝視するものではありません。私だったから良いものの、他の方だったら文句を言われてもおかしくないですよ?」

「…現在進行形で文句を言われているのですが…」

「お黙りなさい。いいですか?そもそも…………」



結果:理由を教えたら
   一瞬赤くなったけれど
   すぐに元に戻って
   お説教された
   ツンデレ、なのかな?

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