聖川真斗
※聖川視点
─じー…
先程から凄まじい視線を
後頭部に感じる
─じー…
もしや、何者かに狙われているのでは…!?
勢いよく後ろを振り返えれば
そこにいたのは姫だった
「…姫だったか。どうかしたのか?」
─じー…
返事はない
どうしたというのだろうか…
もしや、俺の顔に
何か着いているのか…?
俺はハンカチを取り出し
ゴシゴシと顔を拭いてみた
これでどうだろうか
顔を拭き終え姫を見る
─じー…
しかし、未だに姫は
こちらを見つめていた
─じー…
そういえば
先程は後頭部を凝視していたな
では髪が跳ねているのだろうか
俺は手櫛で髪をすき
整えてみた
今度こそ…
そう思い姫を見る
─じー……
やははり視線は離れない
─じー…
本当にどうしたというのだろうか…
もしや、俺は
自分の気付かぬ内に
姫に対して粗相を…
─じー…
やはりそうか、そうなのか
「…姫、すまなかった。気付かぬ内に粗相をしでかすなど、俺は…」
「…は?」
「しかし、俺も男だ、落とし前はきっちりつける」
「え、いや、あの…」
「ここは切腹して謝罪を!」
「は!?ちょ、待って!」
「姫、止めないでくれ」
「いやいやいやいや!止めないでくれ、じゃなくって!ストップ!ストップ真斗くん!!落ち着いて話せばわかるから!お願いだから今すぐその短刀置いてぇぇぇ!!」
結果:何だか勘違いをしたらしく
腹を切ると言い出した
止めるのに必死で
理由を伝える暇なんて
全くなかった
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