一十木音也

※一十木視点






─じー…

えーっと…
これは、何?


─じー…

ヘッドホンで好きな曲を聴いていたら
いきなり俺の前の席に
俺の方を向いて座った姫
座っただけならまだ理解できるけど…
話し掛けてもこないで
ただまっすぐ俺を見てる


─じー…


何だろう…
すっげードキドキする

俺は片方の耳のヘッドホンをずらして聞いてみて


「ど、どうかした?」

「…。」


─じー…

返事はない

「え、えっと…」


─じー……


「ご、ごめん…その、そんなに見つめられると、何て言うか…すっげードキドキして、止まらないんだけど…」

姫の視線に耐えきれなくて
少し恥ずかしいけど訳を言った


─じー…


「あの…姫?だから、その…」

恥ずかしくて頬をかいた

「姫に見られてるって思うと、何て言うか…胸の奥がキューってなって、ドキドキするから、だから…その…ちょっと恥ずかしい」

尻すぼみな言い方になっちゃったけど、これが限界


「ごめんね、音也くん…ちょっぴりからかっちゃった」

「いや、えっと、平気…と言うより、やっと喋ったぁ!俺のこと嫌いになったかと思ったよ…あー良かった!!」

「ちょっと赤くなりながらもしっかり話してくれた音也くん、なんだか爽やかでかっこよかった!」

「ホントに!?やっぱりちゃんと気持ち伝えるのって大事だね!」



結果:赤くなりながらも
   かなり頑張ってた
   爽やかだけど
   聴いてるこっちも
   ちょっと恥ずかしかった


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