雪のうさぎ(ほのぼの/甘)
※姫視点
窓から朝日が降り注ぐ
私達からすれば真夜中なこの時間
たまたま目が覚め
ふと窓を見れば雪が降り積もっていた
─夜は降ってなかったのに
いつもより寒い理由が分かった
「枢、枢」
「…ん……なに?」
「雪が積もってるの」
私は一緒に寝ていた枢を起こして窓に駆け寄り外を見る
「姫、外に行こうか」
「外に?」
「そう、外に。せっかく雪が積もっているのだから外に出て散歩でもしてみないかい?」
「…いいの?枢、眠くない?」
「平気だよ、ほら上着きて」
枢はそう言い、さっさと仕度をすませ
私の手をとり朝日の香る外へと出た
真っ白な世界を二人で歩く
それはとても神秘的だった
「…キレイ」
─ぎゅっぎゅっ
一歩一歩進む度に真新しい雪の軋む音がする
一面の銀世界に残っている足跡は私と枢のだけ
私はその場にしゃがみこみ雪を手にとり握り始める
しばらくして出来たのは
そこらへんにあった葉っぱやら木の実やらで耳と目をつけた雪ウサギ
「枢、枢!みて!雪ウサギ!」
近くで見ていた枢に手の平に乗る雪ウサギを差し出せば
ふんわりと笑ってくれた
「可愛いね」
「我ながら上出来よ」
枢に喜んでもらえて私も嬉しくなった
それからどのくらい経っただろうか
十二分に雪を堪能した私達は屋敷の中に入っていった
玄関には小さな雪ウサギと
少し大きな雪ウサギが
仲良く並んでいた
(夜まで雪が残っていたら、また遊んでもいい?)
(程々にね?凍えてしまうから)
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