敦盛草
※沖田視点 半会話文
『沖田さん、ちょっと枕抜きますね』
「痛い…髪、引っ張ってるって」
『ご、ごめんなさい!』
─サラサラと揺れる長く艶やかな黒髪を
『今日は何だか寒いですね…沖田さん、寒くありませんか?』
「んー…ちょっと寒いかな…」
『じゃあ今掛布団もう一枚持ってきますね』
─決して不健康には見えないけれど雪の様な白い肌を
「だーかーらっ!今日は調子良いから大丈夫だってば!
『もう!沖田さんったらまたそうやって強がって、私には分かるんですからね!』
「姫ちゃんは心配しすぎなんだか『いいから横になってください!』
「…」
─汚れたモノを見てきたはずなのにどこまでも澄んだ瞳を
「あーあ また血吐いちゃった…そろそろ限界なのかな…?」
『…っそんなことありません!!何でそんなこというんですか!?』
「…ごめん」
─僕に必死にしがみついてくるその細い腕を
─肌で感じる君の心音を
『沖田さん、朝ですよ〜起きて下さ〜い』
『…沖田さん?沖田さん、沖田さんってば!ねぇ…沖田さん、朝ですよ…ほら沖田さん、沖田さ、っ…総司さんッ!!変な冗談なんてやめて起きて下さいよ!!総司さんっ!!』
─澄んだ瞳から溢れる輝く雫を
─僕の名前を呼ぶ紅く柔らかいその唇を
君を構成する全てを
一つ一つを
君を
君自身を
僕は死んでも忘れないだろう
(僕は死んでも僕の記憶は消えないよ)
敦盛草/君を忘れない
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