青タン柳眉
「食満ってさ」
ざわざわする国語の授業中、食満は話しかけられた。
後ろの席の奴に。
「頭盛ってんの?」
食満のふわふわした髪型を指差し尋ねる。
文次郎は素朴な疑問を尋ねただけだ。
彼は洒落ていた。服も、つけてる物も、髪型も何時も小綺麗だった。
おれは、そんな食満の後ろの席だった。
食満が振り返った。
(また何か嫌味でも言ってくるんだろうか。お前もやっと美意識に目覚めたか、とか…?)
そして、何でもないことのように言ってのけた。
「ねぐせ。」
『ぶっ…。』
俺はつい吹き出してしまった。反射で口で押さえたが、音が漏れてしまった。
なるほど、たしかに目の前のいつものつり上がってる目が、少しトロンとしている。
「…」
濁音符を吹き出され片眉をくいとあげた食満は、じっと俺を睨んでいた。俺は知らないふりをし真面目に授業に取り組みだした。
かっこいいなと思っていた髪型が、ねぐせだったとは予想外だ。
(ねぐせ。)
子供のようにそう呟いた彼が、可愛らしかった。
謝らない俺に痺れを切らし食満は黒板に向き直る。
ぴょんぴょんした毛が午後の日差しを浴びて光の粒子を毛先に帯びていた。
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11/16 (Tue)16:28
ねぐせなんだよ。
ほんとだよ。
良い具合に盛ったみたいになってるけど、
夜髪ぬれたまま寝ちゃったんだよ。
え?どう寝たらそうなるかって?
さあ…寝てるからわかんないな
ああ、でも、今朝起きたら足に青タンがいくつも出来てたなあ
なんでかな
12リアル話
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