伏+尊→雑A

 
組頭はこちらに顔を向けた。
 
「君が連れて来たの?」
 
「とんでもない!」
 
短絡的な濡れ衣に首と手を大仰に振って相異を表した。子供は能天気に組頭の腰にしがみ付いて戯れている。組頭は子供の脇に手を入れて軽々と持ち上げ、胸に抱き抱えて言った。
 
「…どうやってここまで来たの?」
 
「ここのお城の警備は上辺だけだったです〜もっとちゃんと隅まで見ておくように言った方がいいですよ〜」
 
 
 
組頭の目が少し見開いた。私は全開になった。戦好きと名高く畏怖される我が城にこんな子供が一人で侵入を試み、しかもそれを許してしまったというのか。そんなまさか、しかし前例が無い故、対処できずと言ってしまえばそれまでなのか、それとも忍術学園の力の賜物なのか…と、恐らく同じことが頭を回っているであろう組頭を見ながら子供の様子を窺ったら、覆面と包帯から覗けた片目がにんまり笑っていた。
 
 
「…冗談ですよ。それとも、この城の警備は本当にざるなんですか?」
 
 
すごいスリル〜と付け足して。虚を衝かれて何も言えない私を余所に組頭は怯みもせず本質を貫いた。
 
「陣内だね?」
 
「…?」
 
何故そこで小頭の名が出てくるのか私は一人合点がつかないまま子供も曖昧な返事をした。
 
「こなもんさんに会いたいと欲する一子相伝の念を善良な方が汲んで下さったのです」
 
それを聞いた組頭は自身の中で何か納得し、子供を降ろして二人で蜜柑を食べ始めた。
 
「……帰さなくて良いのですか?」

一人事態に取り残され、解説を求める意味も込めて尋ねたが組頭は、まぁいいんじゃない、とだけ目で応え、蜜柑を咀嚼した。
 
「君も座ってお食べよ」
 
「…生憎、組頭と違って忙しいので遠慮させて頂きます」
 
「そんな人を木偶みたいに」
 
「ちゃんとその子どうにかして下さいね」
 
言い捨てて足早に部屋から出た。事実まだ仕事残ってるし。別に逃げたわけじゃない。説明がもらえなかった事に拗ねたわけでもない。
ただちょっと、組頭があの子供を追い出さないことに苛立つ自分がいることに戸惑った。意味わからん。
 
 
「…一応小頭に報告しておくか」
 
その前に蜜柑を高坂さんに見つからない所に隠しておかねば。私は雑念を振り払うように駆け出した。
 
 
 
 

だから何だっていう(^P^)
考えなしに見切り発車するからぐだぐだになるとなぜ学習できない…
結果的に尊が伏木蔵に軽く嫉妬することで。

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