現パロ長→こへA

小平太は、意志を曲げなかった。子供に罪は無いと言って、堕胎は絶対にしようとしなかった。手術の直前まで、奴は子供の心配をしていた。
 
「この子が大きくなるまで、私のことは言わないでくれ…この子には、普通の子供と同じように生きて欲しいんだ…」
 
病院のベッドに横たわり、細くなった指で私の手を握りながら奴は言った。私は頷いて、頭を撫でた。小平太は苦笑いしながら私の目尻を指で擦った。
 
「泣くな長次…こんなことを託してしまって本当にすまないが、私は嬉しいんだ…安心して任せることができるお前がいることが…何より良かったと思っている」
 
私は涙を止めることができなかった。浅ましいと思うかもしれないが、私は小平太が最後に私を思ってくれたことが、死んでしまいそうなくらい嬉しかった。ただそれだけだった。
 
 
 
小平太の子供は無事に生まれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「なぁ、ちょうじ」
 
「…どうした?」
 
「どうして男同士は結婚できないんだ?」
 
「…っゲホッケホッ」
 
「大丈夫?」
 
「…いきなり何だ」
 
「ちょうじを幸せにしたい」
 
「は?」
 
「結婚してくれ、ちょうじ」
 
「寝言は寝て言え」
 
「寝言で言えたら結婚してくれるのか?」
 
「そうじゃなくて…」
 
「私なら幸せにしてやれる、約束するから」
 
「だから違…」
 
「ちょうじは私が嫌いか?」
 
「はぁ?」
 
「嫌いだから拒むのか?」
 
「……人の話を聞」
 
「お願いだちょうじ…私のことを少しでも好きならこの手を離さないでくれ」
 
「…〜〜〜〜〜っ!!」
 
 
最近、こんな感じでお前そっくりな顔の息子に迫られている。なんとかしろ、小平太。

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