現パロ長→こへA
小平太は、意志を曲げなかった。子供に罪は無いと言って、堕胎は絶対にしようとしなかった。手術の直前まで、奴は子供の心配をしていた。 「この子が大きくなるまで、私のことは言わないでくれ…この子には、普通の子供と同じように生きて欲しいんだ…」 病院のベッドに横たわり、細くなった指で私の手を握りながら奴は言った。私は頷いて、頭を撫でた。小平太は苦笑いしながら私の目尻を指で擦った。 「泣くな長次…こんなことを託してしまって本当にすまないが、私は嬉しいんだ…安心して任せることができるお前がいることが…何より良かったと思っている」 私は涙を止めることができなかった。浅ましいと思うかもしれないが、私は小平太が最後に私を思ってくれたことが、死んでしまいそうなくらい嬉しかった。ただそれだけだった。 小平太の子供は無事に生まれた。 「なぁ、ちょうじ」 「…どうした?」 「どうして男同士は結婚できないんだ?」 「…っゲホッケホッ」 「大丈夫?」 「…いきなり何だ」 「ちょうじを幸せにしたい」 「は?」 「結婚してくれ、ちょうじ」 「寝言は寝て言え」 「寝言で言えたら結婚してくれるのか?」 「そうじゃなくて…」 「私なら幸せにしてやれる、約束するから」 「だから違…」 「ちょうじは私が嫌いか?」 「はぁ?」 「嫌いだから拒むのか?」 「……人の話を聞」 「お願いだちょうじ…私のことを少しでも好きならこの手を離さないでくれ」 「…〜〜〜〜〜っ!!」 最近、こんな感じでお前そっくりな顔の息子に迫られている。なんとかしろ、小平太。[ 43/52 ][*prev] [next#]
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