ミサキ


気付いたら男の娘というのを目指していた。目指すと言っても元の顔は微妙で化粧は下手で観れたもんじゃないし、可愛い格好も似合わない。一向になれるどころか近づく気配はない。
でも男の娘は可愛い。なりたい。憧れだ。
でもどうやったらいいかわかんない。そこで俺は男の娘に教えて貰えばいいのだ!そう思った。
思い立ったが吉日。そうしよう。

「あんた?久我山って」
「かっ」
「はぁ…?」
「かわいいいいいぃ!」
なにこれ!なにこれ天使!?
俺は目が飛び出るくらい驚いた。
男の娘でこの辺りで有名な人と調べたらデリヘルボーイでいたのだ。人気らしいがあっさり会えたことに驚きつつ、案外微妙なのかなとドキドキしたが予想外にも可愛すぎた。
肩ほどの長い髪はさらさらで、細い肩と雪みたいな白い肌。レースのスカートや赤いネクタイも似合っている。化粧も女の子みたいに上手いんだと思う。俺にはわかんないけど。
「めっちゃやば…可愛いかわいい、え、目デカっ」
「ええ…なにコイツ。あんた久我山じゃない?」
「いや久我山っす!弟子にしてください!」
「頭おかしいでしょ」
俺はとにかく説明した。何度も虫を見るような目で見られたが必死に男の娘、いやこのデリヘルボーイのミサキさんをリスペクトしていると伝えた。
長時間の説明の後、ようやっと理解したミサキくんは溜息を吐いた。そんな仕草も似合ってる…!
「そんなことでデリヘル呼ぶ?馬鹿じゃん」
「ひどい…でも、だって、見たかったし」
「お金勿体無いじゃん、あんた俺に会いたかっただけなんでしょ」
「ぐすっ…うん」
今は説教されてる。確かに値段は高かった。男の娘になりたい一方で大学の友達ともよく遊ぶからお金はない。バイトに明け暮れて我慢しきれず使って、バイトに明け暮れての繰り返しでようやく貯めたお金だった。
なのに会うために使ったのか、と怒られている。うう。
「はあ…」
「ずびばせん…」
「いいよ別に。あんたの金だし。代わりに服貸して化粧してあんたを可愛くしてあげる」
ネットでは小悪魔系と呼ばれる笑みを浮かべるミサキさんは神々しく天使のように見えた。

「ふわわ〜〜〜」
「なにその声」
これは俺か。俺なのか。本物か?
ミサキさんの手で魔法がかけられたように変身した俺はとても俺にしか見えない。カツラまで貸してくれて、全身女の子。ミサキさんには劣るけど、でもかわいい。俺には見えない。
「ミサキさん!いや、先輩って呼んでもいいっすか!?」
「はあ…?」
「先輩めちゃ可愛いっす!」
男の娘で人生の先輩になったミサキ先輩。
鏡の中の俺は何度見ても別人だ。先輩は魔法使いだ。
「すごい!俺じゃないみたい」
「そんな大口開けんのはしたない」
「すんません」
短いスカート、ニーハイ、ブーツ。洋服もラブリーというやつで可愛い。鏡の中で首を動かしていろんな方向から眺める。飽きないし楽しい。
「なんか嬉しそうだね」
「だってこんなに可愛いなんて嬉しいし。ミサキくんよりは可愛くないけど、ちょう満足」
とにかくにこにこして上機嫌な俺を見つめて先輩は何かを考えている。
俺は気にもせずくるくる回っては鏡を見る。
「…これだけじゃお金の分サービスしてない気がする」
「え、服も貸してもらって化粧もしてくれたのに?十分じゃないすか?」
「うーん」
腰に手を当ててうなる仕草も可愛い。足細いなあ。肌白すぎだし。ショートケーキみたい。
「…久我山お尻でイったことある?」
「おっ!?…おしり?えっケツ?」
「………そう」
ケツと言ったら露骨に嫌そうな顔をされた。それすらかわいい。何しても可愛いとかやばすぎ。
でもお尻でイくって何だ。
「お尻で気持ちよくなったことある?ちんちんはあるでしょ」
「ちんっ…!?」
「……あんたうるさい」
ちんちんとか聞いたの久しぶりだ。でも先輩がちんことかいうよりは馴染んでる。すごい。その洋服並みに似合ってる。
「あんの?ないの?」
「な、ない…どうやってなるのかも想像つかない」
「じゃあ教えてあげる」
まじか。お尻で気持ちいいって何?撫でまくって揉みまくってってこと?
思わず自分のケツを揉むけど特に気持ちよくはならない。
「あんたホント何も知らないんだ…いーよ、教えてあげる」
そう言うとベッドにうつ伏せで腰をあげるように言われた。恐々としながらも言う通りにして、怖いので枕を抱える。
何をされるんだろう。
「ローションある?なさそう」
「無いです……」
最早期待していない。ないけども。ないけども…!
「しょうがないなあ…」
ちゅぷ、という水音に振り返ると先輩は自分の指を咥えている。えっっろ!
目が合うとぞくぞくしてくる、あっやばいちんこ勃つ。
ドキドキしていると、いきなりお尻がスースーする。先輩は俺のパンツを下ろしてる。ああ俺の汚いケツ見られてる。なんか申し訳なくてそわそわする。
ちゅぷっ
「わああああああ!」
「っ、びっくりした!うるさい」
「おし、おっ…お尻に…入ってる!」
「ここに入れんの気持ちいいからちょっと黙ってて」
ちゅぷ、ちゅぷって音を立てて俺のケツ穴に先輩の細い指が入ってる。細いのに違和感がすごくて、不安になる。
俺のケツ穴どうなんの…?
「………」
「……」
「…」
き、気まずい。
ちゅぷ、て音が次第に増えて大きくなっていく。いやらしい。なんか下半身にくるものがある。
先輩は中で指を曲げたり奥まで入れたり、たまに中をかき混ぜたり。ひたすら異物感しかなくて戸惑う。これがとても気持ちよくなるとは思えない。
ひたすら拷問のような時間が過ぎる。いつか終わりは来るのかな。
そう思っていた時
「っ、う、あっ!」
「あ、ここ」
「ひぁっ、…せせせせ、せんぱーい!」
なに、これ。なにこれなになに。
お尻の中がびくびくして、先輩の指の存在をより一層感じる。身体も震えて汗がどぱっと出る。
おかしい。一気に不安になって枕をぎゅうぎゅう抱きしめる。
「あっ…あ、んんっ変だ、よぅ…」
「変じゃない」
変だ。そんなとこで感じるなんてあり得ないのに。
「んぅ…っ、あっああッ!」
なんでこんな声が出るんだろ。自分でも恥ずかしくてなのにぞくぞくする。いやらしい気持ちになってる。
「ふ、あっ…そこ、触っちゃ、だめぇ…ッ」
「そこ、って……ここ?」
「あぁあああァ…っ」
声が我慢出来ない。荒波のような刺激に俺は息をするのが精一杯になった。
自分の身体が自分のじゃなくなったようで。
先輩がそこ、に触る。つんつんしたり撫でたりするだけで電流が走って身体が震える。そこ、はスイッチみたいで、こんなものがあると思っていなかった。
じゅぷっずぶっ…ずぷぷ…っ
「ミサキ先輩…っ」
指が出たり入ったりして、その度に中の色んなところを擦ってる。さっきまではなんともなかったところなのに、俺のケツ穴は出ていく指をぎゅうぎゅうしてるのが自分でも感じる。
「ひ、あぁ…っ」
「気持ちいい?ねえ、気持ちい?」
「わ、わかんなぃぃ…ッああっう、うっ」
「気持ちいいって言って」
「…やぁっあんっんっぅ!…あっ、きも、ちぃ…せんぱぁいっ!」
この感覚は気持ちいい、なのかな。何もかも初めてで俺は戸惑いっぱなしだ。おそるおそる顔を上げて先輩を振り返るとばちっと目が合う。
「泣いて化粧崩れてるよ」
「う、うそ…っ」
気づかなかった。慌てて涙を拭こうとすると、また先輩の指がそこを突く。
「あぁあ…っんんん!」
ちんこの奥がじんじんする。先輩から今度は自分のちんこへ目を移すと、ちんこは勃起してた。汁も垂れてる。本当に感じてるんだ…。
そう思ったら、快感は大きくなった。
「あ、あんっ…せんぱいっ、ああぅっ!」
「なあに」
「ちんこ、ちんこっいき、たい…ッ」
先輩は鼻歌でも歌い出しそうな感じで「いいよ」と言った。俺1人ではイけない。もっとそこを突き上げて、めちゃくちゃに。そうしてほしい。
「あ、あーーッ…も、っとぉ……ッ」
「もっと、…なに?」
「あぅんっあんっひ、あっ…!そこっ、」
「そこ?……ここ?」
「んぅ、っうんっ!そこ、あっ、あ、あ゛ぁ!」
先輩の責めは止まらない。優しくそこを撫でられ俺は犬みたいに唸って涎を垂らした。
気持ちいい、もっと、もっとちょうだい。
「何してほしい?」
「あっやぁっ!おね、がいっ…おねがいっ!あっ、ぁ、んッ……いじって、そこ、あぁ〜〜〜ッ!」
「了解」
今までのじんわりとした責めは穏やかな方だと気付いた。先輩は一気にそこを指で突き上げた。思わず腰が浮いて、けど背中は沿った。身体のがくがくが止まらない。
頭が快感でかき混ぜられて、馬鹿みたいに声が止まらない。
「あっあ゛あーーーッ!あ゛っあ、んあッやあぁ……ーーーッ!」
枕を抱きしめて、必死に身体が崩れないように支えるので精一杯だった。

「大丈夫?」
「うぅ…なんか、すごかった、っす」
先輩は汚れた服はあげると言ってくれた。化粧はぐちゃぐちゃで見れたもんじゃなかったので落とした。
まだ身体が宙に浮いているかのように落ち着かない。
先輩は次の仕事があるらしい。玄関まで送ると、先輩は振り返る。
「じゃあね」



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