生ぬるい風と朧月夜と

ぎにゃー…


「化け猫ぉぉ!!」

がばりと主の腕にしがみつく。

「離れんかい!きしょいやんけ!」

顔面を押されて顔だけ離れるが腕はがっちりとダークの腕にしがみついていた。

「無理!無理無理無理無理!」

首が痛いほど押されてているのにしがみついているのは、根性なのか恐怖心なのか。

「なんで化け猫やねん。近所のノラやん」

「あんな鳴き声、猫ちゃうし!」

「発情期なんちゃう?」

確かに発情期の猫の鳴き声は猫じゃないような鳴き声だが。

「怖いよぉ。めっちゃ怖いよぉ…。13日の金曜日だしぃ」

相変わらずダークにしがみつきながら今にも泣きそうになりながらクロフトウェイは歩いていた。

「13日の金曜日ぃぃ?」

歩きにくくてイライラしていたダークは怪訝そうにクロフトウェイを見た。

「そうっスよ!13日の金曜日っ!」



なにを言ってるんだ、こいつは



そんな目でダークはクロフトウェイを見ていた。

「13日の金曜日っていったらジェイ○ンだし!殺人鬼だし!神出鬼没だし!チェーンソーだし!いやいや、チェーンソーは違う!斧、いやナタだ!」

「アホかい!ありゃフィクションやろ!心霊とか、ホラーが嫌いな癖に余計な知識入れくさって!しかもチェーンソーが違うてどんだけ詳しいねん!」

開いた右手でツッコんだ。

それがあまりにも痛かったらしく思わずダークの腕を放し、ツッコまれた頭を押さえてうずくまった。

「ちょー痛いっス…」

少しうずくまるクロフトウェイを見下ろしていたダークだが、すいっと歩き出した。

「そんなの信じとると、マジでジェ○ソン来るかもな」







………ひぃぃぃ………








クロフトウェイは両頬を両手で押さえか細い悲鳴を上げた。


「おぉーおぉー、懐かしいなぁ。ムンクの叫びかいな」

しれっとさらっと言いながらダークは歩く。
その後ろでクロフトウェイはムンクの『叫び』ポーズで道路に膝をついた。そしてがっくりと両手を地面についてうなだれる。要するに『orz』のポーズだ。ダークにとってそんなことに興味はないのだが。
そのうち、クロフトウェイは


「ジェイ○ンが来る○ェイソンが来るジェイソ○が来るジェ○ソンが来るジェ○ソンが来るジェイソ○が来る!」

再びムンクの『叫び』のポーズで『ジェイ○ン』を連呼しながらダークの周りを回る。

「やかましいわ!そして鬱陶しい!」

目の前に来たクロフトウェイのわき腹に蹴りを入れる。いわゆる『ヤクザキック』というやつだ。

「ぶるぅぅわぁぁ!」

どっかの声優さんのようなやられ声で倒れるクロフトウェイ。

「どうでもえぇけど、ジェ○ソンよりお前は七不思議の方が怖いんちゃうん?」

はっとしたクロフトウェイ。
再びか細い悲鳴と共にうなだれたとかうなだれないとか…

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