仮面の下

ガラフ・ダエスター。


魔王サマエル・アルバータの部下で魔王の側近の地位にいる者たちと同レベルの強さを持つ、魔界屈指の天才錬金術師である。




―――しかし、顔は仮面で隠されており、その素顔は誰も見たことがない。


そう、彼の主であるサマエルでさえも……。









「ガラフの仮面の下ってどうなってんの?」


ある日の離岩城リビング。ふと、コーヒーを飲んでいたクロロが言った。


シーンと静まり返るリビング。次に全員が仮面を付けたまま、器用に紅茶をすするガラフに視線を集めた。


ガラフはごくんと音が聞こえるほど派手に口の中の紅茶を喉の奥に流し込んだ。

「Maskの下なんて…恥ずかしいでぇすよぉ」
くねくねとして拒否するガラフだった。


「でも、気になるじゃん」
「だよねっ」

むっとして言うクロロにピュセルが同意する。
そして、同意を求めるかのように、テツとネフィルティスに視線を移す。

テツは、顔が『くだらねぇ』と言っているが、ネフィルティスはびくんっと肩が跳ねた。そして、ガクガク震える。

「なンだよ、ネフィ」

ピュセルが怪訝な顔をしてネフィルティスを見る。
ネフィルティスは再び、びくんっと肩を跳ねらせた。

「いや、気にしないで?」

へらりと笑い、席を立った。
その様を不思議に思いながら、クロロとピュセルはガラフの素顔を見ることの方が、重要だった。


正攻法で仮面は取ってもらえるわけがなく、そして取れないだろう。

では、どうやって……。



「ピュセル、クロロ。遅刻するわ」


学校に行く準備を整えたキャメルが二人に声をかけた。

二人は恨めしそうに新聞に手を伸ばすガラフをみる。

ガラフはその視線に気がつくと、にこやか(な気配)に「good bey」と手を振った。




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