1.

ここは姉川。目の前には浅井軍。雑兵の奥に見える二人は私の義弟と妹…。


織田が朝倉を攻めたことにより、浅井が織田に立ちふさがった。

お互い譲歩はあってもいいのかなと思うのは、私の甘さなのか…。


「お犬姫様、見てて。蘭丸、誰よりも殺すから」

蘭丸…無邪気に言うんじゃないわ。

「お犬。無理なら退いてちょうだい。初陣で身内と戦うのは辛いでしょう?」

義姉様…その気遣い、市にもしてあげて。

私は…この戦は間違っていると思うの。兄様…兄様…止めて…。市と長政を攻めないで…。


「市は!市は長政様の妻だから織田には戻らない!長政様のそばにいるの!」

あの市が精一杯声を張り出してる。お願い、兄様…。

「うつけが…」

地を這うような兄様の声。

「市ぃぃ!」

兄様の声が響く。兄様が市に斬りつける。
長政が兄様の太刀を止めた。

「夫婦揃って滅びを選ぶか。ならば滅びよ!」
「兄者ぁぁ!どっちがうつけじゃぁぁ!!」

たまりかねて思わず薙刀の柄で兄様の後頭部をどついた。

「妹夫婦を潰してなんになる!不毛だ、マジで不毛だ!どいつもこいつも頭冷やせ!」

「犬ぅぅ」

ギロリと兄様に睨まれる。…が、怖いわけがない。

「あぁ?兄弟喧嘩してる場合?まずは裏切り者を潰すのが先でしょ。つか、周りは敵だらけなんですけど?兄者はそんなことも分からないほどお馬鹿さんなんでちゅかぁ?」

切っ先を向けられる。こっちも向けてやる。

[ 3/3 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -