「きちんと円堂先輩をつかまえててください」
「きみこそ、風丸くんをしっかり捕まえててよ」
「風丸さんが陸上部に帰ってくれたらどれだけいいか」
「それは、だめ」
「なんでですか」
「円堂くんが悲しむ、から」
そういって基山さんは静かに笑った。その顔は窓から差し込んだ太陽の陽射しでできらきらと光る。いかにも大人な表情をする彼に僕は歯がゆさを感じた。(すきですきでしかたないくせに円堂さんのことをいちばんに考えるなんて!)
「でも以外だな」
「え」
基山さんが不思議そうに首をかしげた。そうして僕をじいっとみるとふふ、笑う。なんなんだろう、このひとは。
「きみなら、てっきり円堂くんに嫌がらせをするとおもってた」
「それは、だめです」
「…なんで?」
「………風丸さんが、悲しむから」
そういって下をむく僕に基山さんは「ぼくたち似た者同士だね」と顔を覗き込んだ。それからばくらは恋ばなとかお互いのどこがいいとか悪いとかきみは趣味が悪いだとかいいながら笑って、前よりすこしだけ仲良くなった。
20100308 ________ ヒロトと宮坂は乙女トークしてそうっていう妄想
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