ちゅう!俺は思い切り猪里の頬に口付けた。ここが外だなんて関係ない。猪里は俺が口付けた場所に手を当てると、かああああ、頬を紅潮させた。かわいいな、なんて思ってるうちに猪里の裏返った声が頭に響いた。その二文字と色気のない鉄拳で俺はまんまと現実に引き戻された。それはもう、怒涛の勢いで。



「あほ!」
「いでっ!猪里痛えYo!」
「こんな所で、自業自得ばい!」
「っ言ったって・・・・誰もいねえじゃねーKa!」
「だからって、非常識だっていっとるんよ!」



 と言っても、顔を真っ赤にして怒る恋人というものはどうしてこんなに可愛いものなのか。必死な猪里に対して俺はキスしたいだとか、そのままあわよくば・・・なんて調子でいた。俺の脳内をもし猪里に覗かれたら、抹殺決定だと思う。そんな事を思いながらおれはぎゅっと猪里を抱きしめた。温かい体温が伝わってくる。どくどく鳴る心臓も服と服が擦れあう音も不思議と鮮明に聞こえた。


 


「ちょ、虎鉄っ」
「ん〜・・・」
「なにし、」
「ん〜、好きだなあって、思ってSa」


 


 笑う俺に「ばか!」猪里は恥ずかしそうに目を反らした。こんな猪里が、好きだと俺は心底思う。此処までひとりの人を愛おしいと思うなんて、おもってもいなかった。本当に本当に、俺は猪里が好きだ。この思いはきっと一生変わらない気がする。もし、猪里もそうなら嬉しい。そう言うと猪里はまた「ばか」という。そう言いながらも、俺の額を小突く指は優しかった。たまらず今度は口にキスをする。きっと3秒後にはさっきの10倍もの拳が飛んでくるのだろう。だけれども、猪里の唇を手に入れるためならそのくらいの痛みもいいかなと俺は微笑んだ。


 


 



20101103





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