「ユウマくんさあ」
「なんだよ」
「あたしのことすきでしょ」
「は!?」
ユウマくんは「ばか」だとか「なにいってんだ」とか言っているけれどその真っ赤な顔でどもりながら言われても説得力はない。ほんとうに素直じゃないなあとわたしは微笑んだ。ユウマくんはレイコと似ていると思う。前にレイコに「ショウくんのこと好きでしょ?」と聞いたときも似たように顔を真っ赤にしていた。なんてわかりやすいの、このふたりは!!あーあ、つまんないなあ。みんなあたしのことだけおいてきぼりにして青春を謳歌するなんて!!だけどショウくんはかっこいいのに怖いはなしに夢中だしレイコは現実主義な割に怖がりだしユウマくんは俺様でいじめっ子だしあたしは空想好きなだけで冴えないし。なんだかドラマみたいにうまくはいかないものだな、とあたしは空気を噛み締めた。
「ユウマくんが紳士だったらなあ」
「は?なんのはなしだよ」
「ユウマくんがもっともーっと優しかったら、このもやもやも恋になったのかもね」
「だから、なんのはなしなんだよ」
そういうユウマくんを尻目にあたしはゆっくり歩いていた坂を猛スピードで駆け抜けた。ああ、あたしの王子様は一体どこにいるのかしら。わたしははぁ、ため息をついた。
20100310 ________ 夢みがちなアコ
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