ウチ、な。ダーリン見た瞬間にビビビって電気が走ったような気がしたんや。そういってリカはゆっくり俺の腕に抱き着く。全く、いつもこんなふうに大人しければ可愛いのにな、俺は心の隅でそう思った。だけどそんな普段のはちゃめちゃさも彼女らしく可愛いといえば可愛らしいのだが。





「それってつまり、destinyってことかな」

「…でぃすてにー?」

「あ、運命ってこと」

「運命!ダーリンとウチは、運命の赤い糸で繋がってるんやで」




 ロマンチック!と目の前できらきら瞳を輝かせながら指を組むリカに俺は「やれやれ」とため息をついた。今リカの頭の中では二人の結婚式の映像が流れているに違いない。教会の鐘の音、みんなの歓声、神父の柔らかい声がリカの瞳から染み出ているようだった。




(………俺達が、結婚、かぁ)




 おれはそっと目を閉じて瞼の裏に未来の自分たちを想像してみた。真っ白なタキシードを着た俺は同じく真っ白なウェディングドレスに身を包んだリカの手を引いてみんなの視線を浴びながらゆっくりゆっくりバージンロードを歩いて行く。「リカ、綺麗」何て言う声がぽろりぽろり漏れているのを聞いた俺たちは顔を見合わせ照れ笑いをするのだろう。そして、少し太った神父さんのおっとりした柔らかい声でまるで楽園にいったかのような気持ちになるに違いない。だって、隣をちらりとみたら穏やか横顔があるのだ。ふわりと象られたレースはまるで羽のように真っ白で優しい。そんな状況で君を天使と間違わない方が可笑しいのだろう。ぼーっとしている俺に、神父さんが軽く咳ばらいをする。俺はその瞬間一気に現実にもどされる。隣でリカのクスクス笑う声と土門の笑いを堪える声が聞こえた気がした。






「ダーリン?」

「え、ああ、リカ?!」

「ぼーっとして、何考えてたんや?」

「えっと、ちょっと将来のことを」






 そういう俺にリカは「へぇ」とだけ呟いてまた腕に抱き着いた。リカと、結婚。悪くないかもしれない。子供だってきっと可愛いに違いない。なんだかんだでリカ寄りの女の子のイメージがついた。あ、俺尻に敷かれそうだな。妻にも子供にも。そうなったら威厳がないよな、そう微笑む俺をリカは不思議そうな目で見ていた。





「もう、ダーリン何考えてるん?」

「いや、なんでも。…ただ、リカとずっと一緒に入れたら楽しいだろうな、って思って」




 そう言う俺にリカは一瞬だけ目を丸まると見開いた後「嬉しい!」と思い切り抱き着いた。人を好きになるって、とても楽しい事なんだと俺は実感した。そして、この思いは一生薄れることなくきらきらと輝き続けるのだろう。好きだよ、リカ。この感情も、かわらずずっと残っていくのだろうと14歳なりに感じた。生意気、かな。でもこの子となら一生添い遂げられるって、思ったんだ。愛してる、愛してる、愛してるよ、リカ。呪文みたいに頭の中でリピートしつづける言葉を僕は空気に濁した。いまはまだ、言わない。言えないよ。そうだな、あと4年くらいしたら、言うよ。僕は真っ白なタキシードに身を包んでしあわせそうな横顔に。







「愛してるよ、リカ」








 みんなの拍手と歓声が聞こえる。土門のひやかすような声も聞こえた。「ロマンチックです!」と叫ぶのはきっと音無さんだろう。「初めてダーリンから言ってくれた」と嬉しそうに涙を堪える君の唇に、俺はゆっくり、キスをした。「しあわせになれよ!」キャプテンのひときわ大きな声が教会に響いた。











20100402
一秋も一リカもおいしいです




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