「源田さん」

「ん?何だ」

「キスしてください」

「え?おとなし、んぅ」





 無理矢理に近いかたちでわたしはゆっくり源田さんの唇を奪いました。(してください、って言ったにも関わらず自分からしたのは言った後に、源田さんからキスをするはずがないと気がついたからです)やけに艶っぽい源田さんの吐息にわたしは少しだけどきりとします。(ここで押し倒してくれたらどれだけ嬉しいか!)わたしは頭の片隅でそんな期待できないことを考えながら源田さんの胸に頭をよせました。すると、わたしよりももっともっと源田さんの心臓がドキドキしていることがわかりました。





「源田さんの心臓、すごく早い」

「だって、音無、急に」

「顔も、耳まで真っ赤です」

「…そういう音無も、真っ赤だぞ?」





 そういわれてわたしはやっと自分の頬が熱を持っていることに気がつきました。うわあ、熱い。ひんやりと冷えた指とは対照的に熱い頬。鏡を見る気にもなれません。源田さんは伏し目がちに唇に指をあててゆっくりなぞりました。その光景がやけに綺麗で、わたしはうっとりとしてします。そしてこのうるさい心音はわたしのものだと気がついたのです。源田さんの音とすこしずれて刻むリズム。とくんとくん。確かに動いてる。わたしはこの音を初めて愛おしいと思いました。そして、源田さんの、あなたの音にとけてしまいたいとまで思ったのです。













20100404




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