「なあ源田」

「何だ佐久間」

「部活、汗かいたな」

「あとでシャワー浴びるか?」

「じゃあ、いいよな」




 なにがだよ、という前に佐久間は徐に制服を脱ぎ始めた。暑かったか、俺は自室の窓を少しだけ開ける。まだ冬の色を残した冷たい風がひゅうひゅう頬を撫でた。でも佐久間は特に気にする様子もなくカチャカチャとベルトを緩める。そして、妖艶に笑うと俺が開けた窓に鍵を閉め、ドアにも鍵を閉めた。嫌な予感が俺の脳裏を駆け巡る。部活終わりの放課後、俺の部屋、親は外出中。つまり俺たちはふたり、きり。




「ちょ、さくま・・・?」

「源田」




 佐久間の甘い声が耳元で聞こえた。どきん、おれの心臓が高なる。つう、佐久間の細い指が首を伝って、ゆっくり制服に手をかける。(また、あの。ぐちゃぐちゃになる、やつ。されるのか、な)今から何をされるのか、さすがの俺も悟った。



「さくま、だめ」

「なんで」

「だって、汗、かいてるし」

「どうせ今からまた汗かくんだから、変わらないだろ」

「そういうことじゃなくて・・・、ひぁ」

「俺、源田の汗の匂い、好きだぜ?」




ぺろり、佐久間が俺の耳を舐めた。途端に自分顔が真っ赤になるのがわかる。反対に佐久間は意地悪くニヤニヤと上目で笑っていた。「何の準備もしてないし。」呟く俺に佐久間は「生で良いだろ」とあっけらかんと答えた。後で辛いのはおれなのに。シーツ汚したら洗うのだっておれ、なのに。さい、てい。そう呟く俺に佐久間は「何か言ったか?」とわざとらしく囁く。どきどき、どきどきどき!また心臓が五月蝿く響いた。(本当、性格悪いよな。)俺は心の片隅で思った。「いやじゃないくせに」微笑む佐久間はやけに綺麗で、俺は何も言えなくなる。ふわり、佐久間がゆっくり俺に覆い被さった。そのサラサラとした銀髪のくすぐったさを肌で感じながら、俺はゆっくり目を閉じた。








20100403





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