あいつのことが愛しくて堪らないと感じたのはいつだろうか。初めて目があった日、初めてキスをした日、初めてセックスした日、もしかしたらつい昨日かもしれないな、とおれは微笑んだ。おれはあいつにまだ一回も愛してると告げたことがない。意味もわからないままそんな、恋人同士みたいな行為をしていた自分に笑いが込み上げる。そういえばあいつからも「好き」と言われたことがない。それ以前に笑った顔を見たことがない。目が合ったときもキスしたときもセックスしたときもいつもいつも源田は泣きそうな顔だった。眉間にしわをよせて、涙目で、おれのことが怖くて怖くて仕方ないような顔をしていたのを覚えている。それはただ単純にあいつがおれを嫌いなのか、それともおれが今にも源田を殺しそうな顔で見てたのかはわからない。だけれど、明らか過ぎる拒絶はひしひしと伝わってきた。






「源田」

「……なん、だ」

「お前、おれのこと嫌いだろ」

「…それはお互い様だろう」





そう俯く源田におれはなみだがこぼれそうになった。ちがう、ちがうよ源田。おれは、おれは、おれは!(おまえが、)頭の中に言葉が反響する。飽和しきったそれの圧力におれは泣くことしか出来なかった。源田が目の前で不安そうにおれを見つめる。やめろ、見るな、ばか。そんな言葉ばかりがぽろぽろこぼれて消えていく。泣くのがこんなに苦しいなんておれは初めて知った。そんなおれに源田はゴツゴツした硬い手で、俺の背中を優しくさすった。「お前は素直じゃないな」と言う源田に、おれは嗚咽まじりに「うるせえ」とか細い声で呟いた。











20100311
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不源のはずなのに不動が女々しく本当にごめんなさい




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