※恋の釣竿のはなし とても妄想
「乱馬」 「なんだ?良牙」
キラキラした顔で俺のことを見つめる乱馬に俺はどうも気が重くなる。これがあかねさんだったらどれだけよかったことか。後悔先に立たずとはよく言ったものだ。まさにこのことである。男に、しかもライバルである奴に恋心を抱かれても気味が悪いだけで楽しい事なんか何一つない。
「帰らなくていいのか」 「だって俺、お前のことが好きだから、ずっと一緒に居たくて」
今の乱馬に何を言っても通用しないのは、大体分かった事である。そもそも根本的な理由が自分という事で俺はいまいちこいつを責め切れないでいた。俺があんなものあかねさんに使おうと思わなければ、買わなければ、こんな事にはならなかったのだ。俺は本当に情けない男である。
「・・・なあ良牙」 「ん・・・?」
途端、視界がぐらっと変わった。乱馬の顔が近い。俺はどうやら乱馬に押し倒されているらしい。このとき、もっと自分を鍛えておけばと死ぬほど後悔した。乱馬の手が俺の局部に触れた。びくん、俺は身体を強張らせる。
「っ・・・おい、乱馬、やめ・・・」 「いいだろ、別に」 「いいわけないだろ・・・!ひ、」
止まらない乱馬の指に、俺は肩を竦める。上擦る自分の声に恥ずかしさを覚えた。抵抗しようとしても力がでないのは何故だろうか。しかも、ちょっと気持ちいいと思ってしまう俺はなんなんだろうか。
「・・・すっげー良牙の、もう我慢できないみたい」 「ばか・・っ、言うな!!」
恥ずかしい。その思いだけがぐるぐるとあたまを過ぎる。今の俺はあかねさんが好きだとかこいつはライバルだとかそんな事はどうでもよくなっていた。なんともいえないこの高揚感はなんだろうか。驚きと恐怖と気持ちよさで俺はとろけてしまいそうだ。俺はこの表現しがたい甘ったるい気持ちを釣竿のせいにしてしまおうだなんてまた情けない事を考えながら瞼を閉じた。
20101213
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