『なにをしているんですの?』
わたしがそう問うと彼女はいかにもけだるそうな調子で『紙飛行機つくってるの』と欠伸をした。
(なんでそんなもの、)なんて私は片隅で思いながらもそのいびつな指先をじいっと見つめていた。一体何枚の白紙を犠牲にするのか、彼女は少し折り目がズレるたび苛々とした様子で頭を掻きむしった。
「不器用ですのね」
「うっさい、結構難しいのよ」
「不器用なあなたが、なんで紙飛行機なんかを?」
「……ムシャクシャしてたから」
「余計、ムシャクシャしてませんこと?」
だからって何故紙飛行機なのか、だなんていう質問の答えはもう諦めて私は作業を続ける彼女のいびつな指先をまた、じぃっと見つめた。細くて長い見た目のわりに不器用な指に、(やっぱりネネちゃんはネネちゃんだなぁ)となんだか少し笑顔がこぼれた。
変わらないひと (『なに笑ってるのよ』『笑うなという方が難しいですわ』『なによ、失礼ね!!!』)
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