「ん、ふぁ」
不意に声が漏れた。二酸化炭素の交換なんて息苦しいだけで酸素が足りなく必死にもがく。何が悲しくて僕はこの男に唇を奪われているのだろうか。しかも、此処はキッチンですぐそこには遊びに来た荻野警部がいるのだ。僕はただ、お茶請けのカステラを切る為のナイフを取りに来ただけだった。キッチンの敷居を跨いだ瞬間、思い切り何者かに腕を引っ張られ、今に至る。
なんでこいつがこんなところに居るのかなんてもうどうでもよかった。ただ「警部に気づかれたらどうしよう」という思いしかなく、必死に声を上げないようにする。そんな僕をみて岩崎は調子に乗ったのか「声、我慢しないでよ」など言いながら口付けを更に深いものにした。ここで奴の舌に思い切り噛み付いても良かったのだが大きな声を出して警部が来て、こんな状態の自分を見られるのはプライドが許さなかった。それを解ってキスをするこいつの唇が、掻き乱す舌が、艶やかな指が、嫌で嫌で嫌で、仕方なかった。









拒絶
(すればするほど、溺れてく)








20120317
岩崎はキスうまいよね!でも剣持はびっくりするほど下手だよね!ってだけのはなし。
岩→剣→荻がすき




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