帰ってきて早々邦治さんははあ、大きく溜息をつきながら深くソファーに腰掛けた。疲れてるのかしら、わたしはココアを入れテーブルに差し出した。邦治さんはマグカップを持ったまま一度息を吹きかけ、少し間をおくと熱いそれを一気に喉を鳴らして飲んだ。そしてそれをまたテーブルに戻すと、眠たそうに大きく背伸びをする。ボキボキ、骨の音が聞こえた。






「疲れた?」
「・・・ああ」
「・・・・お仕事、大変なのね」
「・・・・・ああ」






 真っ赤な目を擦りながら邦治さんが呟く。どうやらヤギさんがなかなか捕まらないらしい。どうやらそのヤギさんは普通のヤギさんじゃなく悪いヤギさんであるらしく、警察である彼は手を焼いている。最初聞いたときはちょっと、よく分からなかったけど、とにかく悪いヤギさんらしい。少なくとも、わたしの主人をこんなに疲れさせるんだから、悪い子だ。わたしはちょこん、邦治さんの横に座って身体を彼に預けた。邦治さんは「ん」と短く声をあげるとそのままわたしにかぶさるようにもたれかかった。寝た、のかしら。ちらり、彼のほうを見ると眉間にシワを残したまま寝ている邦治さんがいた。あーあ、もう、癖になっちゃう。わたしはそう小声でそう言うとゆっくり、邦治さんの頭を自分の膝の上にのせた。そして眉間に指をやり、静かに伸ばす。






「おつかれさま、あなた」





 わたしはそう言って目を閉じるとゆっくりもうひとつの手を腕にやって、ぽんぽん、呼吸に合わせて静かに叩いた。そうすると邦治さんは少しだけ目を開けて、わたしを引っ張り軽くキスをした。すると安心したのか今度は少し幸せそうに目を閉じた。あどけない寝顔。わたしは手を眉間からおでこにずらし、そこからゆっくり顎のほうへ滑らせた。(梓には、パパがママに甘えた事、内緒にしてあげる)わたしはそう思いながら、その重そうな瞼にゆっくり口付けた。




















20110113






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