「…剣ちゃんのえっち」

「黙りなさい岩崎」





剣ちゃんは手慣れない手つきで俺の服をたくし上げるとゆっくりゆっくりと腹に包帯を巻いた。いつもの剣ちゃんなら乱暴にやるんだろうけど、今日の剣ちゃんは優しかった。最初にした消毒液だってちょっぴり染みる程度で全然痛くなかった。それはきっと俺が痛くないようにと一生懸命配慮しているからだ。剣ちゃんの指が滑らかに動くのを俺はじいっと見つめる。それは同時にとてもとても艶やかで、おれはふつふつといろいろな感情が湧き立つのを押さえるので必死だった。





「剣ちゃん巻くの上手」

「…これくらい普通だろう」

「おれ、絶対むりだもん」



剣ちゃんはため息をつくと呆れたような表情で「終わったぞ」と呟いた。たまには怪我も悪くない。怪我をした原因のヤギにも感謝しなくては。そう笑う俺の頭を剣ちゃんは「馬鹿」と思い切り叩いた。頭蓋骨に響く振動が、やけに心地好かった。







20100303
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岩崎はM希望






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