荻さんにINしてるときのはなし












 お前なんか、警察でなければ良かったんだ。俺はそう思う。いや、本当はお前みたいな奴ばかりでなくちゃいけないんだろうな。警察って言うのは。でも、あの時の警察ってやつは嘘臭さガ充満した腐った所だった。青臭いお前とは不釣合いな、汚い汚い場所だった。そんな不安定な場所にいる狼たちを馬鹿みたいに踏ん張って支えてたのは俺だけ。おれはどうしようもない喪失感にかられた。お前が死んだ夜、俺はお前の馬鹿らしさと警察の汚さのせいで涙も出なかった。お前の遺書の最後の言葉、頭の中にループする。次こそ相棒になろう。次こそ、つぎ、って。








「なあ、ジョージ」







 次ってなんだよ。次っていつだ?生まれ変わったら?それとも天国で?なあ、ジョージ。残念ながら俺はしぶとく生きてるんだ。あの時、あの瞬間。警察は俺の獲物になった。だから、俺は暫らくお前の相棒になれそうもねえよ、なあ。なんでだろうな、あの、お前の孫を見たとき。俺は涙が出そうだったんだ。馬鹿も遺伝するんだな。そう思ったよ。皮肉だよな、ジョージ。お前との喧嘩、結構楽しかったよ。今そう思うんだ。








「弥太郎」
「・・・?はい」
「俺さ、今どんな顔してる?」






 弥太郎は困ったように少し間をおかせる。何で困る必要があるんだよ。そう言う俺に弥太郎は眉を下げた。そして、遠慮がちに口が開かれる。





「泣きそう、です」
「・・・そっか、泣きそうかあ」
「・・・あの」
「ん?どうした?」
「もっと僕らを、頼ってください」




 弥太郎は少し背伸びをして俺の頭を撫でた。まるで母親みたいに、ゆっくりと。おれは(これじゃあいつもと逆だな)と笑った。それほどに情けない顔をしていたのか、おれは。無性に自分が馬鹿みたいに思える。そして、なぜか弱音まで吐きたくなった。




「弥太郎」
「・・・はい」
「そうしてれば、」



 差し伸べてくれた手をとっていれば。俺の、俺たちの未来は変わっていたのかな。。そう言う俺に弥太郎は「あなたらしくない」と微笑む。悪い。あと5分。あと5分で元の俺に戻るから。おれはそうしておれ(と言っても荻野警部のよりも)小さな弥太郎の身体に少しだけよしかかって、そのぬくもりをゆっくりかみしめた。








20110311





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