ハッピーライフ/オス+ロザ→アン

この男の呼吸を止めるのは、簡単なことだなぁと思った。

少女の細い指先が、ぐるぐる巻きに包帯で巻かれていくのを見ながら、ロザリアは思った。
いける。今ならいける。


「‥オスカー様、ちょっと巻きすぎではありませんこと?」

ハッと冷静になったロザリアが、ため息まじりに声をかける。

「いや、もしもこの指に雑菌なんかが入って炎症でも起こしたら命の危機になるかもしれないからな。念入りに巻かないと」

念入り‥。
包帯を一巻き全部指先に巻きつけることが念入りなのか‥。

「ああもう、そんなに巻いたらこの子の指が壊死してしまいますわ!」

お代りになって!と、ロザリアがオスカーの手から包帯をとりあげる。

「あ、あの、二人とも。そもそもこれくらいなんともないから‥」

おずおずとアンジェリークが訴えるが、二人の間には火花しか散っていない。
オスカーのぐるぐる巻きにも困っていたが、ロザリアの言葉のトゲトゲしさにも、アンジェリークはひたすらオロオロするばかりだ。
二人とも、普段はウフフアハハと楽しく三人でお茶だってしているのに。

「これくらいなんて事はないわ、傷でも残ったらどうするの!私は許しませんわよ!」
「俺だって許すもんか!」

二人の声が一度に浴びせられ、
アンジェリークは冷や汗がにじむ。
心配してくれるのは嬉しいが、ちょっといきすぎている。落ち着かせるように「わかった、二人に任せるわ」と椅子に座って、両手をそれぞれに預けた。

アンジェリークを中心に、二人に壁際に追い込まれるような立ち位置の中、丸椅子に腰掛けて両手を右のオスカー、左のロザリアに差し出す。
不思議な光景に、くすくすと笑みが漏れる。

「ねえ?私たち、とっても仲がいいわよね」

アンジェリークが、上目遣いで微笑むと、二人の表情がなんともいえない微妙な顔つきになったが、やがてうなづいた。

「まぁ‥アンジェに対する俺様のもの的発言をのけたら、オスカー様はそこそこいい人ね」
「そうだな、お嬢ちゃんに対しての私のもの的な行動をのぞけば、彼女は素晴らしい人だと、思うが」

トゲトゲと、端々に刺さらなくはないが包帯を巻き終えた二人は顔を見合わせて満足そうにうなずく。
そんな二人を見ていると、アンジェリークはひたすら面白くなってしまい、指の怪我を忘れて二人に腕を回した。

「私は二人がだーいすき!」

二人のほっぺたにチュッと音を立ててキスをすると、お返しのキスがふってくる。

「さぁ、お茶の続き。しよ!」

部屋には、紅茶の香りがふんわりと漂い始めていた。


終わり


うちでは、ロザリアとオスカーはアンジェリーク推し。
[ 5/17 ]
[*←] []
[bkm]
[#novel●_menu#]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -