仕草がエロい。燃える。
あ、もえるが萌えるやなくて燃えるというのは仕様です。間違えやないからな。
まぁ、まずそんなことを言うた時点で彼女でもセフレでも何でもないこの女から良くてアッパー。最悪金的が飛んでくるわな。
そんなことを考えながら読んでいた本で口元を隠すが例の仕草がエロい女…名前からは辞書三冊の重圧をいただいた。首が曲がるわ。一生首が90度になってまうわ。
「なんやねん」
「忍足キモい」
「お前に言われたないわ。」
「はぁ?忍足がキモくなかったらみんな爽やかだよ」
「失礼やなぁ…」
口ではそんな憎まれ口しか出えへんのやけど目線はその俺を掴んで離さん挑発的に俺を誘う(多分誘ってはない)色素の少しだけ薄い焦げ茶の瞳とその周りに縁取られた繊細で品のある芸術のように縁取られた睫に。
この目ぇに捕まってどれくらいになるんやろうな。それは多分めったに席替えをせぇへんうちの担任が気まぐれでやった席替え以来やからのべ半年。
俺の前に座る名前からはえぇ匂いするわ夏はうなじに汗かいとるし。俺どころか男に分類される奴は絶対ムラッとくる。賭けてもええ。しかし俺はふとしたときに振り返り様に見える名前の目に惚れた。
綺麗やなくてセクシー。というよりエロい。せやけど下品やなくて綺麗。でも綺麗やーってなんやねん。この無駄なループは。
まだぶちぶち言っとる名前を無視するように大きく欠伸をすれば名前はどうやらカチンと来たらしくずいっとこちらに顔を寄せた。
なんや怒ってるつもりやろうけどこっちにとってはまたとない絶好の機会。堪能するように名前の目ぇを覗き込めば向こうもそれに気が付いたらしくふいっと目を背けた。少しだけ赤くなった耳を触れば名前の肩はぴくんと上がった。
「なんや」
「な、なにが」
「緊張しとるん?」
「アンタと目、合わせると妊娠するって噂思い出しただけです」
「そんなら俺何人孕ませとるんや」
「星の数くらいじゃない?ヤリチン」
「俺猫ちゃうから見境なく襲わへん」
「どうだか」
「…どうやろなぁ?」
そう言えば拗ねるように顔を背けた名前。そしてそれを逃がさんとばかりに顔を両手で覆い右目にぱくりと食べるように口付けた。すれば暴れるやろと睨んでいた名前だったが全く暴れる気配はなく、何してんの?と冷静に返された。
「好きやから」
「は?」
「せやから好きやねん。名前の目」
再び口付けようと顔を寄せるが今度はちゃんと名前の手がそれを止めた。
「ねぇ忍足」
「なんや」
「私の目が好きなの?」
「あぁ」
「ねぇ」
「なんや」
「私は?」
そう言ってエロい目を細めた名前に好きや。と答えてから今度は目より少し下の赤くて小さな唇に口付けた。