『39.5℃…やばい…。つか頭痛い…』
クラスで風邪が流行り始めていたので気を付けてはいたが10年間風邪もひかなかった自分がかかるとは思っていなかった。
『しゃーない…学校休むか…』
今日はおとなしくしていようと思い、ベッドに寝ているとケータイがなった。
『ったく…誰だよこんな時に…』
ディスプレイを見るとそこには「忍足侑士」と書かれている。一応彼氏だが、最近は全くと言っていいほど電話もメールもしなかった。
出るかでないか迷った末に中々切れないので出た。
『もしもし…』
「おはようさん。自分学校来とらんけどどうしたん?」
『風邪ひいた…学校休む…』
「あぁー…じゃあ先生に伝えとくわ」
『よろしく…』
「おだいじにな」
『うん、ありがとう。じゃあね』
「おぉ」
電話を切ったあとなんだかさみしくなった。
風邪をひくとひと肌が恋しくなるって本当らしい。
『侑士…。ゲホッゲホッ…』
咳はとまらないし頭痛はすごいし何もする気が起きない。
9時間ほどして起きるとちょうどインターホンが鳴った。『はーい…』
「名前?俺…忍足やけど…」
『今開けるね』
「おぉ。頼むわ」
だるいけど誰もいないので自分が出る。なんでこんなにドアが重いんだと思った。
『いらっしゃい…』
「めっちゃだるそうやけどほんま平気か?」
『あんま平気じゃない…。』
そういいながら侑士の胸になだれ込む。柄にもないことだが今はそうしていたかった。
侑士は驚いているが全然気にしない。
「なっ…とりあえず中入ろ?な?」
『うん。』
「歩けるか?」
『やだ。歩きたくない。』
「しゃーないな…」
そう言って私をおんぶして部屋まで運んでくれた。
『わざわざありがとうね』
「気にせんといて」
そういいながら汗ばんだ額から前髪を払ってくれる。ちょっとくすぐったい。
「なんかほしいもんある?」
『…特に』
「じゃあしばらくここに居るわ」
『侑士に風邪うつしちゃうよ?』
「別にかまわん。ただそんときは名前が俺んち来て看病してな?」
『はいよ…』
「じゃあ俺も風邪ひこ」『ばーか』
それからは記憶がない。
一夜あけて目を覚まし、熱を計ると36.5℃。平熱まで下がったので安心した。
そしてなんとなく枕元のケータイをみると一通のメールが来ていた。
『誰だ…』
ディスプレイには「忍足侑士」と表示されている。そういえば侑士の姿がない。
とりあえずメールを開いてみた。
――――――――――――――――――
あかん…。自分の風邪移ってもうたわ。
―――――――ーendー――――――――
なんだよこの事後報告…
そう思いながら侑士の家に行く準備をした。
――――
20120130 知