第五章  



「玲奈、いる?」

屋上につながるドアを開け声をかける。

『んっ…!?』

車いすに乗った玲奈は一瞬ビクッとしてこっちをみた。

『なっ…なにしにきたんですか!?止めたって無駄ですよ!!!』

「止めるって…なにを?」

『あっ…』

しまったという顔をして玲奈は口をふさいだ。

『もう自分が誰だかわからないし…友達だと言う人が来てもわからない』

「でもなんでそれが屋上にいることにつながるんだ!?」

『わからないんですか?死んでやろうって思ったんですよ!!記憶も足もない!!その所為で人には迷惑ばかりかけてる!!悲しませたりしてデメリットしかあたえていないんですよ!!!だったらいっそ飛び降りて死んだ方が…』

パァァアアン!!!!

無意識に手が出ていた。

「君が死んでも誰も悲しまないと思っているのか!!!俺は確かに玲奈のことで悲しんだりした!でも反対に玲奈によって喜ばされたりもしたんだ!!!小さい頃から俺の後ろにくっついてきて、大会で優勝したときはいつも一番に祝福してくれた!!病気になった時だって玲奈が励ましてくれたりしたんだ!!」

気づいたら抱きしめながら叫んでいた。

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