▼ 九州のお土産って渡されたのが白い恋人だと少しビビる
『あ、沖田隊長』
「おっ、名前じゃねぇですかィ。もう出張から帰ってきたのか」
『えぇ。』
名前はつい先日まで山崎と浜松の方に出張していた。
「たった一週間だってのに土方さんはずっと山崎が手ぇだすんじゃねぇかってそわそわしてやしたぜ」
『あはは…。全然そんなことありませんでしたよ。私何回も山崎さんに「もし名前ちゃんになんかあったら俺が副長に殺されるからなるべく部屋からでないでね」って言われてほとんど潜入捜査は山崎さんに頼んじゃったんですよね』
「それが一番でさァ。んで、その手に持っているもんは何ですかィ?」
『これですか?うなぎパイですよ』
「あぁ…確か…あぁ」
『隊長もよかったらひとつどうぞ』
沖田はニヤニヤと不適な笑みを浮かべてる。
『隊長なにニヤニヤしてるんですか?』
「いや。なんでもねェ。ところでそれ、野郎にもあげるんですかィ」
『そうですけど…もしかして副長、甘いのダメでしたっけ?』
「ダメってわけじゃねぇだろうが好き好んで食べるこたァしねぇな。ていうか今夜がんばってくだせぇ」
『がんばるってなにを…』
「そのうちわかりまさァ」
そう言って沖田はヒラヒラと手を振ってどこかへ行ってしまった。
名前は副長室に着くまで悶々となにをがんばるのかを考えていた。
『副長、今大丈夫ですか?』
「あぁ。」
土方の返事が返ってきたのでそっと障子を開ける。
『副長、ただいま帰りました』
名前は満面の笑みで土方に報告した。
「あぁ。おかえり。」
土方も名前が無事に帰ってきたのを改めて知ってほっとしたように言う。
「ところで報告書は山崎からもらってあるが…何のようだ?」
『用ってわけじゃないんですけどお土産を』
「お?なんだそれ」
『うなぎパイです』
「……………」
名前の一言で土方は固まった。
『副……長…?』
突然の沈黙に名前も困惑する。
「お前…俺を誘ってんのか?」
『えっ?』
「これ「夜のお菓子」っていうんだぜ?」
『だっ…だから?』
困惑というかもはや怯えている名前は壁際に押しやられた。
もう…逃げられない。
『いや…あの…副長…こういうのには心の準備ってものが……』
こわばった顔をしている名前をよそに土方はじりじりと距離を縮めてくる。
名前は顎に手をかけられついぎゅっと目を堅くつむってしまった。
「今はやんねーよ」
ニヤリとわらいながら土方は名前から離れたばこを一本取り出す。
『はぁ…よかった…。ほんとにびっくりしましたよ。ていうか副長、溜まってるんですか?』
土方は思いも寄らぬ名前の一言で火をつけたたばこを落としそうになる。
「ばっ…ばか!!!溜まってるわけねぇだろ!!ヤりたい盛りはとっくに過ぎてんだよ!!!!」
必死に弁解するが顔は真っ赤だ。
「ただ…」
『ただ?』
「山崎に手ェ出されてんじゃねぇかってすっげー不安だった」
『なにもありませんでしたよ。第一山崎さんはそんなことするような人じゃないってことは副長が一番わかっているじゃないですか』
「そう…だな…」
『それに私は副長一筋ですよ』
「なっ…。こういうこと女のおまえが言うなよな…」
『言ったもの勝ちですよ』
「ったく…」
ふてくされながらも土方はしばらく口角が下がらなかった。
――
中途半端な裏ごめんなさいw
通学中に思いつきました←
20120216 知