▼ あぁ、滑稽。
最近好きになった人がいる。あの人のことは好きになっちゃいけないってわかってたのに。
「ねぇ、好きな人いないの?」
「いるよ。3丁目の甘味どころの女の子」
「あぁー、あの子ね。かわいいよね」
銀ちゃんの行きつけの甘味どころの子は私の友人でもある。
「告白しないの?」
「いやー…なんか神楽がばらしたせいでお互い気恥ずかしくなっちゃってさー」
「そっかー。さっさと告ってフラれてきなよ」
「おまっ…」
「…したら私が一番に笑って慰めてあげるから。」
「応援してあげるねとか言えねーのかおめぇは」
「キャラじゃないんで」
違う。ていうかそんなこと言えるわけないじゃん…
「だから名前は彼氏できねぇんだよ」
「そうかねー?」
笑いながらそういう銀ちゃんにつられて笑いながら返す。
「あっ、やべっ!!悪い、今日仕事あっから家帰るわ」
「あ、うん」
「じゃあな」
「ばいばい」
笑って手を振って銀ちゃんを見送る。
あー…なんて滑稽な様。
銀ちゃん、私は貴方に人を想う気持ちを教わりました。今度はそれを忘れる方法を教えてよ。
この時期にはそぐわない冷たい風が後ろを通り抜けた。
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20130725 知