飛段は結構頭が弱い方だと思う、そして自己中。任務の時だって自分が不死だからって無茶して、そんなんだから私の命の危機が何度かあった。そんな飛段を責め立てる時もあるけどやっぱり本当に憎い存在にはならない。それは飛段が人から好かれるタイプの存在なのだろう。時に私はそんな飛段を羨ましいとも感じてしまう。良く言えば素直で、悪くいえば単細胞な彼が。


「よお。」
「何よ、こんな夜更けに。」


ガチャリといきなり開いた扉の先には今さっき考えていた人物が立っていた。不謹慎ともいえる時間に尋ねる彼はやっぱり飛段らしいといえば飛段らしいのかもしれない。


「今日誕生日。」
「誰が?」
「俺が。」
「残念、四月一日は数分前に終わっちゃったよ。」
「ちげぇー。」
「私を騙したいならそんな簡単な嘘じゃ駄目だよ、来年出直してきたら?」


多分昨日の四月一日は飛段は任務だったはず。帰って来たのが遅かったのだろうか嘘をつきにくるのが少し遅かったみたい。


「だから本当だって言ってんだろーが。」


ピリリと空気に電流が走ったような気がした。飛段は今拗ねている、ムッとした表情に私は困惑する。生憎私は飛段の誕生日を知らない、もしかしたら今日は本当に飛段の誕生日?そうだとしたら飛段が拗ねるのも無理はない。真っ向から誕生日を否定されたのだから。


「一番最初にお前から祝って欲しかった。」
「…ごめん。」
「そんなんじゃなくて俺は祝ってほしいんだよ!」


飛段は一番に私に祝ってほしいと思ってくれてたなんて嬉しすぎて胸が痛くなった。それと同時に私は酷い事をしてしまったと後悔した。飛段の誕生日知らないなんて私の馬鹿!飛段の言葉を信じなかった私の馬鹿!こういう時に素直が羨ましいと感じる。変な所で捻くれてる私は飛段の爪の垢を煎じて飲みたい。むしろ爪まるごと頂きたい。


「えーっと…、誕生日おめでとう。」
「おう!」


意外と面と向かって“誕生日おめでとう”を言うのは恥ずかしい。恥ずかしくて私が俯いてるのに対して飛段の高らかな機嫌のよい笑い声が聞こえる。今は夜中だって分かってるのだろうか?五月蠅いとの苦情がくるのは部屋の主のこの私だ。もう少し声のボリューム下げて欲しいなぁ…と思いつつも口には出さない。飛段の誕生日だし今日ぐらい皆許してくれる…だろう。


「うるせぇ!」


声のすぐ後にドンッと壁を叩く音が聞こえた。デイダラは長期任務から帰って来たばっかりだ、やっぱり怒るのも無理はない。


「何であんなに怒ってるんだよ、今日はめでてぇ日なのにな!」


あぁやっぱり年を重ねても飛段は自分だけで世界が回ってるようだ。





20110402
飛段おめ!
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