サソリくんが大切に大事にしていた最愛の彼女が事故で死んじゃったらしい。サソリくんは彼女の悲報があってから一週間ぱったりと学校に来なくなった。皆、皆、心配してた。先生もクラスメートも。学年が違う子達も心配してて、それだけサソリくんは有名人なんだなぁと思った。そういえば、サソリくんに振られた子達は表では心配してる素振りをしてたけど裏ではサソリくんの事を笑っていた、それは酷いな。サソリくんは彼女の事を一途に想ってたからこそ告白されたら丁寧に断っている。私もサソリくんに告白をして振られたけど全然恨みなんかない、こんな私にでも優しく断るサソリくんに又惚れ直してしまったのはここだけの秘密。口は悪いけどとても優しいサソリくん。

そんなサソリくんが登校しだしたのは最近。サソリくんは何かが違った。トゲトゲしい何かがサソリくんを覆っている。サソリくんに近づけばその何かに刺されるんじゃないかってほど。それなのに、私以外はいとも簡単にサソリくんに近づいた。サソリくんは心を無くしたかのように、ただぼうっと前を見つめていた。どれだけ彼女以外の女の子に触れられていても。私はサソリくんの近くにいないのにチクリと胸に何かが刺さった気がした。



昨日は金髪で可愛らしい女の子と一緒に歩いてるのを見て、一昨日はモデルさんの様な綺麗な女の人と一緒に歩いていたのを見た。やっぱりサソリくんの目は輝きを無くしていて、ぼうっとしていた。



サソリくん、サソリくん、ねぇ泣かないで。ポロポロとお人形さんの様な瞳をしているサソリくんの目から溢れ出す涙。真珠のような透明度の高い涙はサソリくんの心を表してるんだなぁと思う。ねぇねぇ綺麗なサソリくん、私みたいな不純な奴がサソリくんの涙汚しちゃうからお願い泣かないで。私も貰い泣きするように涙が溢れた。サソリくんみたいな綺麗な涙は一切出なくて消しゴムのカスみたいなのが沢山沢山流れ落ちた。

「サソリくん、サソリくん。もう泣かないで。体中の水分が全部無くなっちゃうよ。」

サソリくんは私の言葉に無反応でただただ涙を流していた。充血しかけている目を見るとチクリと又胸が痛んだ、それだけ彼女を想って泣いていたんだ。ちょっと彼女が羨ましいや。


   、」

ぽつり、とサソリくんが呟いた名を聞いて私は胸が押し潰されたような気がした。


悲しい宝箱


20110223
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