確率を求めるのが好きだ。
数学の成績はイマイチな私なのに確率の問題だけは間違えない自信がある。どうして確率が好きなのかと問われると答えに困ってしまうだろう、私でも何故確率が好きなのか分からないからだ。


アナタが私を好きになる確率はどれぐらいなんだろうか。
私の前の席に座ってるドレッドの存在感が強い鬼道くんを見つめながら、シャーペンをくるりと回した。もう埋まってしまった確率のプリントが寂しく机に乗っている。

鬼道くんが私を好きになる確率なんて何億分の1。世界規模で考えると少し悲しくなった。
でも考えてみれば私が鬼道くんとこの教室で授業を受けれてるなんて凄い。もっといえばこの広い地上で鬼道くんと巡り会えたなんて無限大分の1。ホント確率って奥が深いなぁ。


「っ、う?」

調子に乗ってクルクル回していたシャーペンがカタリと机に落ちた。芯が出ていたのだろう、プリントに髪の毛のような線が引かれた。いつも通りなら慣れた手つきで不格好な線を綺麗に消したであろう。
いつも通りと違うのは鬼道くんが後ろを向いたからだ。私がガン見してることに気付いたんだろうか、ドキドキと心拍数が上がる。


「お前は確か、確率の問題得意らしいな?」
「はっはい。」
「少し教えてくれないか?…この問題なんだが。」

鬼道くんは何もかも優秀で、鬼道くんが誰かに質問してる所なんて見たことなかったし、私に質問してくるなんて思ってみなくて心臓が爆発するかと思った。確率得意で良かった!なんて呑気なことを考えてると鬼道くんの匂いが鼻をかすめた。キュン、近いなぁ。キュン、カッコいいなぁ。キュン、鬼道くんのシャーペンになりたいなぁ。鬼道くんが行動を起こす度に胸が締め付けられるような溢れんばかりの幸せが私の胸を焦がした。


「ありがとう、助かった。教え方が上手いな。」
「そ、そんな!鬼道くんが呑み込み上手だからだよ…。」

鬼道くんは小さく笑ってまた前を向いた。さっきまで近すぎて鬼道くんの吐息すら聞こえてしまう距離だったのに、今じゃもう遠い。手を伸ばせば触れられる距離だけど遠い、凄く凄く遠い。

鬼道くんが私を好きになってくれる確率ぐらい無限大な距離だった。


誰も知らない僕の宇宙


20110403
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