綺麗、私の頭の中にある単語集にはその言葉しか浮かばなかった。もう少し頭が良かったらもっとかっこよく上手く形容出来たんだろうと思う。近所のお姉ちゃんが今日成人式だとメールで振袖姿の自分撮った写メを私に送ってくれた。最初から可愛かったお姉ちゃんの振袖姿はめちゃくちゃ可愛くて綺麗で大人の人だと感じた。そう思った反面少し寂しくなった、もう気軽に会いにいく事は無理。私が大人に対して思うのは忙しいから迷惑かけちゃいけない、それだけだった。

「お前馬鹿だな。」

はぁっと私が一通り話し終えると幸次郎は溜息をついた。失礼だ、本気で私が悩んでるのにしょうもないと思ってるような顔に腹が立つ。お姉ちゃんの振袖姿の写メ見せてあげない。最初から見せようと思ってなかったけど、幸次郎に惚れられたら困るし。

「その、近所のお姉ちゃんは優しいんだろ?」
「うん。めちゃくちゃ優しいよ、一昨日クッキー貰ったし。」
「…お前確か俺にも一昨日クッキーくれたよな、作ったって。」
「げ、」

しまった、あらぬ事を口走ってしまった自分に後悔した。幸次郎にはお姉ちゃんが作ったクッキーを私が作ったって言って渡したんだっけ。また幸次郎は深い溜息をついた。


「そんな優しい優しいお姉ちゃんはお前を迷惑がると思うか?」

私は少し考えてふるふると首を横に振った。お姉ちゃんは迷惑だなんて私に言った事も無いし毎日私と遊びたいとも言ってくれた、私はお姉ちゃんが大人になってもこの関係は変わらないと信じてたのに。あーもうバカバカ!幸次郎の言った通り私は馬鹿だなぁ、考えたらすぐでる答えなのに。


「私成人式楽しみになってきた。」

へらりと私が笑うと伝染して幸次郎も笑った。成人式なんて何年も先なのに、大人何かになりたくないと思ってたのに、成人式を早く迎えたいと思った。

「お前の振袖姿、楽しみだ。」

恥ずかしげもなくそう言った幸次郎にある意味尊敬した。恥ずかしいけど嬉しくって、やっぱり早く成人式っていうか振袖が着たくなる。お姉ちゃんみたいに綺麗になれたら良いなって思うと顔が綻んだ。





大人になっても幸次郎と一緒にいたい。


20110110
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -