めんどくせー、それはシカマルが一日に何度も言う言葉で彼の口癖だった。いつしか感染するようにシカマルの口癖が私の口癖にもなっていた。シカマルがだらけてると私もだらける。私がちゃんと作業をすればシカマルもちゃんと作業を行う。イノに双子って言うか一心同体みたいだと呆れられながら言われたのは記憶に新しい。私達二人は一心同体と言われて嫌悪感なんて抱かなかったし、何と言われてもどーでも良かった。あ、でもちょっと一心同体だんて嬉しい。


「歩くの疲れたー、だるいー。」
「ったく。全然歩いてねぇよ。」
「私的には一週間ぐらい歩き続けた気がするんだけど。」
「…一時間も歩いて無いけどな。」

私がその場にしゃがみ込んで休憩と言えばシカマルは嫌そうな顔をして私と同じようにしゃがみ込んだ。人通りが少ない道なので他の人の通行の邪魔にはならないだろう。朝カバンの中につっ込んだペットボトルを取り出し中に入っているお茶を体内に流し込む。その光景をシカマルが頬杖をついて見ていた。見られてたらやっぱり飲みにくい。

「飲みたいの?」
「くれんの?」
「…私回し飲み無理なタイプ。」
「嘘つけ。俺の普通に飲んでるじゃねーか。」

私の嘘は通じなかったようで手に持っていたペットボトルを奪われた。ごくごくごく、とシカマルの喉仏が上下に揺れる。うわ、何かウケるんだけど。堪え切れずに笑ってしまうとシカマルは意味不明と頭に?を浮かべていそうな顔をした。


「ここ何出来るのかな?」
「…マンションっぽいな。」
「ぶぶー。デパートでした。」
「じゃあ最初から聞くなよ。」

目の前に立っているマンションのようなデパート。後数か月ぐらいで工事も終了するらしい。これはイノ情報。一緒にデパートで買い物しようと誘われた、面倒くさいからと断ったら激怒されてシカマルも一緒に何故か謝ってくれた。イノも許してくれてチョウジと俺も買い物に付き合わされる羽目になったとこの前シカマルが嘆いていた。


色々シカマルと雑談していたら結構時間がたっていた。当初の目的を忘れていた、私は学校に忘れ物をしてシカマルと一緒に取りに行く途中だったんだ。学校に行くのが面倒になりすぎていた。さぁ行こうかと自分に気合を入れて立ち上がる。シカマルは、やっとかと呟いて立ちあがった。何さ!


危ない!私達の頭上で凄く大きな声が響いた。反射的に上を見上げると工事で使われたであろう大きな大きな鉄骨が落ちてきている。シカマルと目が合うと超がつくほど嫌そうな顔をしていた。うわ、私達死にそうじゃん。忍者みたいにシュシュって逃げれたら良いのになぁ、ずっと前にシカマルと一緒に訪ねた占い師さんに二人とも前世は忍でしたって言われたっけな。と今となっては必要のない思い出が蘇る。これが走馬灯なのかな。
少し生きる事を諦めた瞬間、私の背中を強く押された。





目が覚めると辺りは真っ白で思う通りに体が動かなかった。ここは病室だとイノに教えてもらった。これもイノ情報なんだけどシカマルは私が鉄骨に直撃しないように出来るだけ遠くにと私の背中を押したらしい。そのお陰で私は打撲程度で済んでシカマルは鉄骨に当たって即死したらしい。

私が休憩だんて言わなければシカマルは死なずにすんだのかなぁ、とか私が忘れ物なんてしなければシカマルは死なずにすんだのかなぁ、とか後悔した。面倒くさがり屋は卒業しようと思う。イノに一心同体なのにシカマルが死んだのに私は死んでないねって呟くとイノのすすり泣く声が聞こえた。


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