尋常じゃない寒さに両手をカイロにこすりつけながら、ふうっとため息をついた。わたしの息は白く変化して、消えた。地球温暖化なんて全然進んでないじゃないか、日に日に寒くなる気温に文句をつける。


「おはよー。」
「おー。」


今日は野球部の練習はないのだろう。いつもなら見ない背中。のろのろと前方を歩いてた阿部に声をかけた、話し方ものろのろと間延びしている。眠いんだろう、あくびを噛み締めている。あっと阿部の顔見て思い出す、11日が阿部の誕生日だと。誰かが話してたの聞いたんだよなあ。


「あーべ。」
「どーした。」
「誕生日おめでとー。」
「おー。」


阿部は喜ぶ様子は微塵もなく、面倒臭そうに返事を返す。それはそれで結構傷つくなあ、ありがたいとか思わないのか。まあ若干忘れてたけど、朝一におめでとうって言ったのに。おめでとうと言った先着ランキング的なのは上位に食い込んでいるだろうに。


「…朝から変な顔すんなよ。」
「誰のせいだ。だ、れ、の!もうちょっと喜べ馬鹿。」
「馬鹿はねぇよ、バーカ。」


へらりと阿部はいやらしく笑った。阿部は本当に意地汚い。阿部とは付き合いが長いけど、一度も口で勝ったことがない。


「お前勘違いしてるけど、」
「 え?」
「普通に喜んでるから。」


そう阿部は言い終えると駆け足で行ってしまった。うっそだあ、ぽつりと呟いた言葉は先ほど吐いたため息のように消えてしまった。





20111211
happybirthday,Takaya!
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -