私は人間ではないらしい。人間に限りなく近い違う生き物、だそうだ。心ない言葉を私は信じるしか出来なかった。だって私は棄てられたから。

“人間じゃない同士、仲良くしようぜ”
私は拾われた。真っ赤な髪をなびかせる、綺麗な人に。名はサソリ。彼の手をとった時彼の体温を感じなかった、コンクリートのような冷たい手。この人も、私と同じ。私も、この人と同じ。同類がいるという安心感。それは初めて感じる心地の良いものだった。



「お前の××は綺麗だな。」
「…そんなの初めて言われた。」


私はサソリさんに一生慕い続けると決めた。家族、なんて私にはどんなものか分からないけど、サソリさんといると私が想像する家族になれた気がした。兄の様な、父の様な、サソリさん。時に優しく、時に厳しい、サソリさん。私がサソリさんに惹かれるのは当たり前だった。



「お前の××は脆いな。」
「っ、サソ、リさん、」


酷い痛みだ。初めての痛みだ。とても苦しい、痛みだ。でも我慢しないといけない。サソリさんの望むことは全て叶えてあげたかった、それがサソリさんに対する恩返しだと思ったから。



「お前の××は汚いな。」
「ご、めんなさい。ごめんなさい、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。サソリさんごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。サソリさんごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい、」


私の謝罪はサソリさんに聞こえていないようだったから、私はずっと謝り続けた。何度も頭を地面に打ち付けても私の汚い血が額に垂れるだけでサソリさんは私の方にすら向いてはくれなかった。五十二時間四十九分二十一秒謝り続けたお陰でやっとサソリさんが私に笑いかけてくれた。ごめんなさいサソリさん。××は私とサソリさんを繋ぐ唯一のものだから、綺麗にするよ。前みたいに綺麗だって褒めてくれるまで消毒しないと。今の××は汚いからね。



「お前の××はもういらない。」


そう言ってサソリさんは私の前から消えた。どうして、どうして、どうして!どうして、何がいけなかったの。サソリさんの興が削がれるようなことしてないよ。疑問と恐怖と不安、波のようにそれは私を襲った。もうサソリさんは私を守ってくれない、話してくれない、何もしてくれない、会えない。ぷちんと何かが切れた音がすると同時に目の前が真っ暗になった。あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああサソリさんに愛されない私の××は腐って死んだ。






20111101
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テーマ「人外ファンタジー」
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