気持ちが悪いと思った。
鬼道は男のくせにリップを塗っていて乾燥をしらないぷるぷるした柔らかい唇は心なしか苺の味がしたと思う。そんな鬼道の唇と俺の唇は重なった。ぬるりとした感触、お前リップ塗りすぎだろう。


気持ちが悪いと思った。
ははっ、俺たち男同士できすしてるんだ。数え切れないほど鬼道とはきすをしているけど何となく男同士のきすは嫌な感じがした。お前女だったらよかったのに。そう言うと鬼道はお前の方が女に近いと笑われた。


気持ちが悪いと思った、だから吐いた。
潔癖症じゃないけどきすのせいで何億という細菌が俺の唇に付着したと考えれば嫌悪感で頭が痛くなった。吐き気がする。いつもきすすると頭が痛くなり最終的には嘔吐する。酷い時には何回も何回も嘔吐を繰り返して、苦しすぎて気を失いかけた。吐くと分かってても鬼道ときすしてしまうのが自分でもよく分からなかった。


気持ちが悪いと思った、だから吐いた。
鬼道を押しのけて俺はトイレに向かった。走ってしまうと床にげろをぶちまけてしまいそうだ。胃が揉みくだされるような感覚。もう少しで吐くという所でやっとトイレに着いて、ぜんぶ吐いてやった。げぇ、おっ。母親が作ってくれた朝ごはんを全て吐きだした、鬼道と一緒に食べた昼ご飯も全て吐きだした。ほとんどペースト状になっていて、食べたものは何だったのか分からない状態だった。げっ、とシメにゲップを出して今回は終わった。頭が重い。何て言うか酸素不足な感じがする。ふらふらした足取りで鬼道の所に戻る。吐く時はこの長い髪邪魔なんだよなあ。汗でべっとりと張りついた髪を掻きわける。たまにげろが髪にかかってしまう時がある。そういう時に髪をばっさりと切りたくなってしまう、絶対に切らないけど。ごくんと唾を飲み込むと嫌な味がしてまた吐き気がした。


気持ちが悪いと思った、だから言ってやった。
大丈夫か?と鬼道は俺の背中をさすりながら言った。鬼道は俺が吐いてる時にリップを塗り直したんだろうまた一段と唇にツヤが出た気がする。人が吐いてるっていう時に呑気な奴だな。そう考えて俺がくすりと笑うと、鬼道は俺が大丈夫という風に捉えたのだろう安心したように笑った。そんな鬼道の笑顔にイラついて言ってやった。「お前リップ似合わないよ。」言い終えると同時に似合わないリップを塗った鬼道の唇にまた俺の唇を重ねた。吐いた後口をゆすいでいないから多分俺の唇はげろ臭いしげろの味がするだろう。ははっ、ざまあみろ。お前の苺味のリップはげろ味になったよ。けらけらと笑うとウッと吐き気が舞い戻って来て、鬼道の綺麗な真っ白のシャツにげろをぶちまけてやった。良いデザインのシャツだな、鬼道。






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